自民党の裏金問題で政治資金報告書の一次情報を使って説明している人がいなかったので検証
昨年末(2023年末)から問題視されている自民党の裏金問題ですが、「裏金」という言葉イコール悪という表面的な批判が多いのは世の常なのでしょうがないとして、仕組みを知っている人でも一次資料に当たっている人、一次資料を使って説明している識者を見かけないので自分で調べてみた結果です。
（私は識者ではない一般人です）
まず裏金問題の概要を知るためには
このNHK政治マガジンの記事が端的にまとまっていると思いますので、ご参考にしてください。
今回の裏金問題の簡単な仕組み
自民党関連の政治資金団体が、政治資金パーティーを開催してパーティー券を企業や企業関連の政治資金団体が購入して自民党を応援するわけですが、その際に20万円以上のパーティー券購入をした場合は、受け取った方が政治資金報告書に記載する必要があります。（支払った方が記載するかはわからないです。教えてください。）
今回、例えば安倍派（清和政策研究会）を例にすると、
清和政策研究会が政治資金パーティーを開催し、そのパーティー券を清和政策研究会に所属する政治家が企業に販売します。その際、一定金額以上売った政治家は企業から受け取ったパーティー券の代金を清和政策研究会に納めた後にキックバックを受け取っていました。この金額が政治資金報告書に書かれていなかったということになります。（間違ってたら指摘ください）
お金の流れの例
・企業Aが20万円、企業Bが10万円パーティー券の代金を政治家Cに渡す
・政治家Cのノルマは20万円だった場合、超過した企業Bの10万円分を清和政策研究会からキックバックで受け取る
・清和政策研究会は10万円を政治資金報告書に記載していない
このような仕組みだったと思われます。（間違ってたら指摘ください）
なぜ判明したのか
神戸大学の上脇教授が、支払い側と受け取り側の政治資金報告書をチェックして差異があることを指摘したためです。
・支払い側（企業A、企業B）
企業A、企業B（正確には企業関連の政治資金団体）の政治資金報告書をチェックして、企業A、企業Bから自民党関連の政治資金団体（清和政策研究会など）のパーティー券を購入しているという記載があること、その金額
・受け取り側
自民党関連の政治資金団体（清和政策研究会など）のの政治資金報告書をチェックして、企業A、企業Bにパーティー券を販売している記載があること、その金額
実際の政治資金報告書を見てみる
安倍派（清和政策研究会） R4年（2022年） 政治資金報告書
問題が発覚した後に訂正が入っていますが、2023年12月4日までに数回訂正されています。
・日本病院会政治連盟
・群馬県医師連盟
が追加されています。
その後、2024年1月31日に再度訂正が入り、上記のページが差し替えられています。
・一粒会
・埼玉県柔道整復師政治連盟
が追加されています。
（ソース）
安倍派（清和政策研究会） R4年（2022年） 政治資金報告書 PDF
https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20231124/3120000041.pdf
支払い側の政治資金報告書の確認
支払い側の確認をするために参考として「日本病院会政治連盟」の収支報告書を見てみます。
日本病院会政治連盟 R4年（2022年） 政治資金報告書
確かに清和政策研究会にR4/4/28にセミナー会費として、
・清和政策研究会との懇親の集い（下村博文）100,000円
・清和政策研究会との懇親の集い（松本尚）100,000円
・清和政策研究会との懇親の集い（高橋祐介）80,000円
合計280,000円が支出されています。
この日本病院会政治連盟のR4 政治資金報告書は2023年2月2日に提出されてから訂正はありませんから、清和政策研究会が2023年11月に訂正するまで、支払い側と受け取り側で差異が出ていたことになります。
こういったことを上脇教授は突き合わせていったのだと思われます。
日本病院会政治連盟 R4年（2022年） 政治資金報告書
https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20231124/3189600013.pdf
最後に
・そもそもデジタル化して検索できれば、こんなことはすぐに発覚するしそれがインボイス制度なのでは、、、
・今回は「日本病院会政治連盟」のような政治団体については収支報告書の提出義務があるため付き合わせで収支の付き合わせができたものの、一般企業であれば収支を公開していないのだから裏金があってもわからないのでは？