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ちびまる子を身を焦がす青に染めて

まる子

あたしゃまる子だよ!

今日作文を書いたのさ。まぁ書かされたんだけどね。「将来の夢」って大層な課題だよ。大人が皆持って"いた"ものだね。探してたもの忘れちゃう事あるよね。ない?お母さんとかよく忘れてるよね。あたしは辞書持ってきたのは良いけど、何であんな重いもの持ってきたんだろうってなってそのまま枕にして寝ちゃったよ。しようとした事、やろうと思った事、本当にやろうとするにはそれなりの労力ってものがいるんだよね。作文書くのすっごい疲れるんだよねぇ......だってあたしゃ夢って言ったら「大人になる事」だもんねぇ。笑われちゃうよ。
でも、たまちゃんなら頷いてくれるよ。あの子なら、分かってなくても、あたしの為に頷いてくれる。

山根くんとか何書いたのかな。課題が課題だからちょっと気になるね。丸尾のヤツは、まぁズバリ勉強家だろうね。志は持つように生きてきたつもりだよあたしゃ。でもさ、商店街の魚屋さんとか、本棚を掃除してる本屋のおっちゃんが今を生きてるように見えてならないのよね。これって夢を捨てた事になるのかね。お客さんの為にそれぞれのお店が商売してる今に生きてる。大人が今に生きてるのに、子供には未来を見ろって強要するの、ちょっぴり怖い気がするね。

あら、たまちゃんパンツ忘れてるよ。あの子ノーパンで家帰ったのね。流石だよ全く。たまちゃんのお父さん良い人だからたまちゃんがこんなにエッチだと知ったら泣いちゃうかもね。まぁ、これはあたしたちだけの秘密だからね。だから面白いってのもあるよね。たまちゃんとする事じゃなくて、それを隠すって事に意味があるんだよ。こういう感性は大人っぽいんだよねぇ。でも大人になれないのは、作文で夢を書けなかった事、悔しいって思っちゃうところだよね。


作文書けなくてあたし結構早めに諦めて寝たよ。そりゃぐーぐーとね。その時にさ、空に落ちる感覚っての?授業中に机に伏して寝てると良く起こるよねぇ。今日もそれ起きたんだけど、あれ怖いよね。まぁ終わった時の安堵感が好きで繰り返しちゃうんだけど。今日なんか、はまじのいびきで起きちゃったよ。

午後って気怠げで眠たくなるよねぇ。こんな時はコーヒーを一杯、って憧れなんだけどね。飲めるようになれば、あの苦いって思ってた自分を忘れる事ができるのかな。あたしゃ今すぐにでも辞書を枕にする自分を脱ぎたいもんだね。でもコーヒーは苦いから美味しいんだと思うよあたしゃ。慣れる事で価値とか、存在とかそういうものに鈍くなっていく。最初たまちゃんとキスした時の胸の高鳴りとか、そういうの今思い出したからね。あの子、メガネの奥の瞳が綺麗なんだよ。それこそ、空に落ちるような、吸い込まれたよあたしゃ。

さて、そろそろ寝ようかね。お母さんがうるさいから。パジャマの穴が気になるんだよねぇ、このももの内側の穴。布団に入れば気になんないけどさ。寝る直前の拘束感がどうも苦手でね。辞書枕にする方が何倍も気楽だね。不思議なもんだよ。

おじいちゃんに夢でも聞いてみるかね。

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