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ちびまる子と結んだ契りもいずれ川へと消えていく

まる子

あたしゃまる子だよ!

古来から誰かを悪役に仕立てて攻撃する事だけは一丁前なんだねぇ人間ってのは。なんだか世界が忙しそうにしてるけどさ、その『忙しさ』ってのは可視化出来ない訳さ。見えないものに負のパワーをぶつけられる程器用じゃない。駅で虚空に怒鳴り散らすじじいはいるけどね。あれはねぇ、あたしたちにゃ見えないものに怒ってるのよ。だからじじいの中では見えてはいるの。結局、未知とか不可思議なものには恐怖しかない。それがこの生き物なのよ。で、その恐怖を解消しようとする所が人間の汚い部分よ。見える部分にその恐怖をぶつけるのさ。例えばさっき言った『忙しさ』についてなら、なんで『忙しい』か。その原因を吊るし上げて叩くのね。実際はその原因とされる可視化されたものを潰しても解消されないんだけどね。それで解決出来る程世界が狭かったら、あたしゃ今すぐにでも身投げするね〜。

だってつまらないじゃない。屋台のおじちゃんが売ってるたい焼きが食べたくておじちゃん殺したらそれで解決はしないでしょ?法律に違反して捕まるっていう別の何かが作用するのさ。これは倫理観別にして、世界はそういう作用の集合体って訳よ。だから『バタフライエフェクト』だなんて横文字のかっちょいい言葉が簡単に機能しちゃう。
人間批判を吠えるのも何か意味があるかって言われると思ってたよあたしゃ。なんか王冠を授かった悪い虫が世界中で暴れてるらしいじゃないの。まぁ前線の事は何も知らないからなーんにも偉そうな事は言えないけどね。でもね、あたしがさっき言った可視化されたものに恐怖を押し付けるっていう醜い行為がこの虫のお陰で炙り出されるのよ。わっかりやすい例あったわ〜って思う。何が『忙しさ』だよ。分かり辛いっての!

虫に寄生された人間を恨むのが人間なの。最初は虫を恨んでもね、「まぁ自分は虫には罹らない、虫には襲われない」って正常性バイアスを抱えて生きてる。だからいざ寄生された人間が近くで出ると混乱して当惑するの。その負のパワーはどうしても人間に向いちゃうって訳。遣る瀬無いね〜悲しい運命だよ。クラスの前田さんなんてヒステリック起こしそうじゃない?まぁこんな事言うとアレか。
......どうでもいいや。どうせ幼い人間は記憶を簡略化して成長するんだし、こんな失礼も公園の地面に描いた絵みたいに簡単に消えちゃうんだ。その点で言えば、あたしのこの皮肉屋もフワフワーってどっかに行っちゃうんだろうな〜


運動会のよーいドンで鳴らす銃みたいなやつ、『スターターピストル』って言うんだってさ。あれあたしずっと銃弾が出てるのかと思ってて、空に放った銃弾はいつ落ちてくるんだろうってずーっと空を見てたのよ。不可視の弾丸を追って、流れる雲を眺めてた。


雲も近くで見れば見えなくなる。遠くで見るから見えてくる。
あたしがこうして諦観ばっかりしてるのって、もしかしたら皆より遠くに行こうとしてるのかもしれないね。皆を嫌って、皆を嗤って、皆から離れる事で自分を否定するんだ。変だね〜人間って。大っ嫌いだよ。

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