汎用性のある「優秀さ」など存在しない
会社員としてあまり優秀とは言えない人たちが、こう言うのを聞くことがある。
「この会社の中で実力をつけても、他所に行ったら通用しないんです。」
「ここで優秀でも、他所に行ったら優秀じゃありません。」
「会社の人たちは井の中の蛙です。みんな他所では通用しません。」
つまり、絶対的な「優秀さ」や「実力」というものが存在するのだとでも思っているのだろう。
俺から見れば、UFO研究家よりもメルヘンに生きているかのようだ。
こういう人たちは世代に関係なくいる。多くはその会社の中で決して優秀とは言えない。自分はこの会社では目立つ存在ではないからこそ、もっと言うと、みじめな思いを毎日しているからこそ、どこかに存在すると思いこんでいる「絶対的な能力」に憧れているのかもしれない。
しかし残念ながら、絶対的な能力など存在しない。いや、あるのかもしれないがUFOくらいの可能性だと思う。
A社という会社が存在し、そこでしか通用しない業務を正確にこなし、その会社が持つ商品を売って利益を出して、A社の中で「優秀」だとされる。
もしA社からB社に転職したら、A社と共通する業務においては優秀にこなせるかもしれないが、B社で行われている他の業務のやり方については全くのド素人だ。「A社ではこうだった、B社のやり方はロジカルではない」なんてかっこつけたところで、「ここはA社じゃないの、分かる?」と諭されるだけ。
A社とB社にそれぞれの優秀さの定義があるわけで、そこに絶対性は存在しない。
でも、置かれている環境が苦しければ苦しいほど、絶対性というメルヘンに憧れてしまう。UFOを信じてしまう。だから思いつめた挙句に、絶対的な優秀さを探し求めて会社を辞め起業をしようとする。そしてその多くは失敗してしまう。
今いる場所での優秀さを目指せず、集中力が散漫になるのは
・いる場所に愛着が持てない
・いる場所のレベルが相対的に低い
そんな理由からだろう。
就活に失敗して弱小野球部みたいな会社に就職してしまうと、メルヘンに陥りやすくなる。そこにしか就職できなかった自分の能力を過大評価してしまい、シンデレラ城としての「どこに行っても通用する優秀さ」に現実逃避しようとする。
シンデレラ城が本当にあると思いこんでしまい、起業し惨めな結果になってしまう。
置かれた場所で咲く、世間のことはあまり考えず定年退職まで過ごす、それが優秀さだと気付けるのは、やはり本当に優秀な人だけであって。
俺はポルノのビジネスを生業としているが、この世界でしか通用しない優秀さ、界隈が狭すぎて他では全く通用しない知名度で、大金を得ている。他の世界では本当にクソほどの能力もない。
俺にはそれでいい。どこでも通用しない男で十分だ。
シンデレラ城には憧れている時間がもったいないと思うよ。
人生はもっと楽しいことがある。今いる場所でしか通用しない優秀さを目指すだけでいいと思う。
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