「奥さん」と呼んではいけない
他人の配偶者について、なんという呼び方をしていますか?
ある女性の配偶者について、一昔前なら「ご主人」「旦那様」などと言ったものです。
しかし「ご主人」という言い方には主従関係を想起させるし、「旦那」というのはあまり品のいい言葉ではありません。
そもそも旦那という言葉はサンスクリット語で「ダーナ」であり、僧侶の金銭面での面倒を見る人という意味。つまりパトロンのことです。配偶者を旦那と呼ぶのはどこか江戸風味の品のない洒落であってオフィシャルな場所では避けるべきです。ましてや他人の配偶者を示す言葉としては不適切でしょう。
同じように、他人である男性の配偶者のことをどう呼ぶでしょうか。
「奥様」「奥さん」が一般的でした。奥様の語源は、武家屋敷で妻の居室が一番奥にあったため「奥方」と呼んだこととされています。一見、敬意を払っているようにも思えますが、そもそも「奥」は人目につかないということ。現代にはそぐわない、男尊女卑のニュアンスが残っているように思います。
話はそれますが、「女房」は女性の使用人のこと、「嫁」は家父長的家制度において他所の家から「購入してきた」長男の配偶者でありイエの召使いという意味合いが多分に含まれます。もう人権的に使ってはいけない言葉でしょう。
もちろん慣用句として使う男性が多いでしょうけれど、意図的に消していく言葉です。
話を戻します。
他人の配偶者を呼ぶときの言葉は、そもそも存在してはいけないのかもしれません。
なぜなら人には名前があるわけです。
配偶者の名前がそれぞれ「太郎」「花子」であったとしたら、別にご主人とか奥さんとか言う必要はないかもしれません。
「太郎さんは」「花子さんは」と言うように俺は心がけてます。
赤の他人がその家庭での役割を示す呼称を使うのはとんでもないことです。
もちろん下の名前を呼んではいけない関係性の時もあります。たとえば夜のお店でホストが配偶者のことを名前を使って示してはいけないでしょう。風俗店においても同じです。下の名前で呼ぶのはどの国においても、一定の信頼関係が必要ですし、聖域とも言えるので影の存在であるホストや風俗嬢がやってはいけないもの。
この場合の呼称は、これからまた新しく生み出されていくのかもしれません。
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