二重ふりかえり(スタッフ日誌)

出勤して、植物に水をやる。晴れていてきぶんがよく、歌も歌う。掃除機をかけながら歌うと気が大きくなるとわかっているので、それをおそれてわざわざ一旦歌うのをやめる。

掃除機をかけ終わるくらいで、昨日まとめて今日回収のゴミ袋が目に留まって、半分さけびながら下に捨てにいった。さけんだのは、昨日の自分が「ここに置いておけば、あした朝来た瞬間に目について思い出すだろうな」と思いながらゴミ袋を置くシーンがありありとよみがえったからだ。

昨日のわたしへ、思慮が浅いです。改善してください。今日のわたしより。

あとタイムカードの退勤も切りわすれています。


昨日作った年賀状のデザインに修正が来ていたので修正をする、主に文面をなおす。発注についてわからないことがあったので、印刷会社のチャットサービスに話しかけて、「現在チャットが混みあっています」と自動返信が来てから、かれこれ六時間くらい返事を待っている。すごくすごく混みあっているんだと思う。たぶん。

昨日送った講師ページ一覧のデザイン案にも修正が来ていたので修正をする。ひたすら昨日の自分の尻ぬぐいをしている。


灯油ストーブのことを石油ストーブとよんでしまう。昨日もそう書いた気がする。

石油ストーブ(灯油ストーブ)は二時間おきにOFFになろうとする。換気のためか節約のためか火事防止のためかわからないけれど、つけてから二時間経つと三回鳴って知らせてくれる。

高橋さん(社員)にこれどうすればいいですかといったら延長をおしてといわれてそうした。ストーブ自身の疲れによるものじゃないといいんだけど。


郵便局まで歩いていって戻ってきてごはんを食べて、銀行まで歩いていって戻ってくる、そのあいだずっと晴れていて、よかったよかった。


週末の研究会のレポート記事を書く。おおまかにいうと「アートを使ったワークショップでの経験をどうふりかえるか」ということがテーマになっている回だったんだけど、ひたすらレポートを書きつつ、もう、これはひとつの答えだと思う。みんなレポート記事を書いたらいい。もちろん完全ではないけれど、いま、ふりかえっているな〜という実感は、すさまじく得られる。そのあとこの日誌を書くので二重ふりかえりになる。いや、研究会の途中でもふりかえりの時間はとっているから三重になるか。

ふりかえる、という行為はいまのじぶんにしかできないということがこわい。経験のさなかのじぶんには戻れないし、かといってもっと未来、まがりなりにもいまより賢くなって、ようやく経験の意味がわかるときのじぶんになることもできない。いまの、なにもわかっていないまますべてを終えたわたしが、わかったような顔をして書くしかない。


そうこうしているあいだに高橋さんは外の仕事に出ていき、またひとりになる。あしたはオフィスでひらかれる企画があるので、羽地さん(所長)の荷物をできるだけ片付けないといけない。オフィスの棚は現在七つあり、うち三つが空、一つは非常食や避難リュックが入っていて、あと三つには羽地さんのものが漠然と詰まっている。それでいてあけているのを見たことがない。

たぶん、歴代のこういう「羽地さんはいないけれど羽地さんのものはあしたまでに片付けなければ」が地層となってみっつの棚を埋めているんだろう。

もうしわけないけれどわたしもそれに倣う。

書いてから思ったけれど羽地さんはそんなことは隠しておいてほしいのかもしれない。わたしは書いていいことと書いてはいけないことの見分けがついていないことが多い。いや、いや、嫌がるかもしれないけど書いてしまえ、と思っているわけではなくて、わたしはチャーミングだと思って好意的に書いただけなのにどうやらだめだったらしい、ということがしばしば起きるのだ。

書きたいことと書きたくないこととふつうのことの区別ならば多少はつく。

そしてここにはふつうのことばかり書いている。

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