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あるときは事務員・五味うららの働くということ

「リレーエッセイ」というのだから、由莉さん羽地さんのエッセイを読み、それを三番手としてバトンを受けつつ自分の働き方について振り返ってみようと思う。そういうヘンに真面目なところが私にはある。

お二人とも20代の頃に今までになかった自分にしかできない仕事をやっていきたいと思い立ち、開拓者のように仕事を創りだしてきたという自負と情熱がひしひしと伝わってきた。
では、私はどうか?といえば、正直なところ、私には働くことについてそんなに強い思い入れがない。冷めているわけでも斜に構えているわけでもなく、本心でそう思っている。こういう言い方はおこがましいかもしれないけれど、自分のために働いているというより、気持ち的には”人助け”に近いかもしれない。たまたま誰かにとって必要とされたからそこで働く。そういうスタイルでここまでやってきたように思う。唐突だが、働くことに「運」という要素は意外に関係していると思っている。私の場合、人の運が抜群に良い。それだけでここまで働いてこられたのだ。

大学時代に初めてアルバイトで働き始めてから30年弱、本当にさまざまな形でお金をいただいてきた。
働いた順に思いつくもの挙げてみると、
ラジオ番組内のクイズコーナーのテレフォンオペレーター、クリーニング屋の接客、スタイリストのアシスタント、映画館の受付、貸し会議室のお茶汲み係、チラシ配り、デモンストレーター、アーティストの作品の被写体、スーパーのレジと青果係、競馬関係のカスタマーサポート、百貨店でネイルチップ販売、コンテストの審査員控室のお付きの係、マーケティング会社でデータ入力、音楽教室のオープニングスタッフ、某小売業のコミュニケーションスキルを査定する面接官、シンクタンクの部付きの事務、演劇公演や七五三のカメラマン、「京劇」小学校巡回公演の音響衣装スタッフ、そして現在プレイバック・シアター研究所のスタッフに至る。。。

最短2日、長いもので7年くらいのスパンで、ときに季節労働者のように掛け持ちしながら働いてきた。この他にも、テレビ番組の観覧、広告代理店でのDM発送、某キャンペーンの抽選会で不正がないか監視するだけのバイトなど、単発のものもいくつかあったのを思い出した。これらのなかで自分で求人に応募して採用されたのは映画館とマーケティング会社くらい。一般の求人情報にはあまり出てこないニッチで仕事内容が謎なものが多いのは、このどれもが友人やその周りの方が情報を持っていて「これ誰かやってくれそうな人いない〜?」と尋ねたときに、たまたま私のことを思い出し、「あの人なら引き受けてくれるかもしれない」と勝手に思い(私は基本断らないタイプなのでその思い込みは間違っていない)、声を掛けていただいたものばかりだからだ。そして、今のこのスペックの私でもお役に立てるのなら…という恰好でなんだかんだ引き受けてきている。実は、プレイバック・シアター研究所で働き始めたキッカケもそんなふうなのである。

自分のやりたいこととは別にして、サービス精神とお節介と好奇心の赴くままに、頼まれた目の前のしごとをこなしてきたおかげで、あるときは全国各地に行かせてもらえたし、新しいスキルを身につけることもできたし、交友関係もどんどん広がり、次のしごとに繋がったりもした。私の頭脳には難解すぎる業務内容もあったけれど、その分野での自分の能力の限界を知れたし、正社員で働いているわけではないので次のクールで辞することもできた。ついでに、いやが応にも一般常識と事務スキルも向上していき、自分のスペックが少しずつ向上してきたことにも深く感謝している。すべてはヘンに真面目で責任感が強めに見える私に白羽の矢を立てたみなさんのおかげです!

今は、プレイバック・シアター研究所内のプロ事務員を自負している。(あくまで研究所内で通用するスキル。)このワークショップ事業部のチーム内で、私にしかできない細々としたことがある。それが今ここで働いている意味かと。


次回は、「そうは言っても  働くこと=仕事ではない。私のなかで仕事は別物だと思っている」について書こうと思います。


「はたらくことのリレーエッセイ」全記事はこちらから↓


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