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第15回 「運動神経は遺伝!?」

今回は「運動神経」についてお話ししたいと思います。
まず「運動神経」「運動能力」の簡単な違いを説明します。

「運動神経」とは

バランス感覚・判断力・巧緻性・反応の速さなど運動を補佐するもの

「運動能力」とは

骨格・体重・筋力・視力・聴力など運動する力が備わっているもの

というわけで「運動能力」は遺伝しても

「運動神経」は遺伝しません

●運動神経が悪いと思われる原因

それは「経験」です。
親と一緒に遊んだり運動したりする機会が少ないと、子どもは運動する経験や環境がなく、運動を嫌い・苦手と思ってしまいます。
それが、遺伝だと思ってしまう要因。

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■経験が必要な理由

スポーツ・運動には「走る」「投げる」「打つ」「蹴る」「飛ぶ」「キャッチする」「ぶつかる」など様々な動きがあり、その一連の動きを指令しているのは

「脳」です

つまり、運動・スポーツというのは「脳」が深く関与しているということです。
幼少期から経験豊富な子どもは、脳からの指令がスムーズに行くため運動神経が向上します。
反対に、スポーツを始めてもなかなか上達しない子は、幼少期の経験が少ないということになります。

アスリートを何人も診てきましたが、幼少期に様々なスポーツをしてきた選手は、いわゆる「センス」があり、何をやってもうまくこなします。
しかし、1つの競技だけをしてきた場合「センス」がない選手が多く診られました。
これは私の経験であり競技パフォーマンスにつながるわけではありません。
あくまでも「運動神経」についての見解です。

■運動神経を高める方法

●0歳児から五感を刺激

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この時期は触れてあげることが大切です。
以前もお話しした人間には「固有感覚」というものが点在しています。
この感覚を刺激することで脳への情報が増えます。
また、触れることで「幸せホルモン」が分泌されるので。親子共々いいことばかりです。
ハイハイ(四つ這い)は肩・股関節の柔軟性や筋力向上にはとても大切な体位になります。

最近の子どもたちの柔軟性の欠如のひとつの要因は

「雑巾掛け」がなくなったこと

「雑巾掛け」の体位は、肩関節・股関節の柔軟性・筋力をつけるにはとてもいいポジションになります。
私は、ジュニアのバスケチームのトレーニング指導していたときのウォームアップは、体育館の「雑巾掛けリレー」でした。
子どもたちは楽しく競い合いながらやっていました。
柔軟性や筋力が未発達な子どもは、まっすぐ進めず曲がってしまったりします。
そういったところからも身体を診られますので、ぜひ子どもたちに「雑巾掛け」
お母さんの掃除も楽になりますよ笑

●幼少期はいろいろな動きを取り入れる

「走る」「投げる」「跳ぶ」など、様々な動きを取り入れて、子どもを遊ばせることが大切です。
運動神経を発達させるため「遊びながら楽しく身体を動かす」
野球やサッカーなどボールを使った動きはとてもいいです。
投げる・蹴るというのは意外に難しく、脳や筋肉に良い影響を与えますので、ぜひ取り入れてもらいたいです。

私が診てきた選手の中に、小さい頃からひとつの競技しかしてきたことのない選手とキャッチボールをしたことがありました。

結果は・・・

「どんくさいw」

投げ方もわからなければ、取ることもできないという始末
これは、幼少の頃にいろいろな動きをしてこなかったからと思います。
その選手のフォローをしておくと、その競技に関しては秀でたものがあるので
「運動能力」は高いということです。

ひとつの競技にこだわらず、様々な競技や動きのあるものを取り入れ動きの経験をさせてあげるということが大切になります。

■小学生以降

小学生になると、ひとつの競技に専念することが多くなります。
この時期も脳神経が顕著に発達する時期なので、様々な競技に触れさせることがいいとされています。
アメリカの大学でこんな研究結果が発表されました。

大リーグの選手で「野球一筋」の選手の故障が多かった。
これを見ると、幼少期から様々な競技・動きを取り入れておくというのはパフォーマンスだけではなくケガのリスクも抑えられる。
一概には言えませんが、複数やることで「運動神経」がよくケガを回避できたと捉えることもできます。
このように、ひとつではなく複数させることは将来的にもつながるということになります。

日本を見ていると、トレーナーが増えて子どもときからトレーニングをさせたりと
「運動能力」の高い子は増えています。
が、ここで問題なので「格差」です。
運動できる子とできない子の差が激しくなっています。
オンラインでのゲームや危険ということから外での遊びが減ってるのが原因です。

「運動能力」は高いけど「運動神経」は低い

幼少の頃から、様々なスポーツ・運動・遊びをしておくことで「運動神経」が良くなるということです。
延いてはスポーツの競技パフォーマンスアップにもつながります。

自分が「運動オンチ」だからと思ってるお父さん・お母さん

運動神経は遺伝ではないので、子どもの時からいろいろな経験をさせてあげるようにしてください。


広崎 哲也/Tetsuya Hirosaki
鍼師・灸師・あんま・マッサージ・指圧師

明治大学柔道部トレーナー(2002)
NTT -G Fukuokaラグビー部トレーナー(2003〜2013)
日野RedDolphinsラグビー部トレーナー(2014〜2016)
SuperFormula トレーナー(2013〜)
ボディケアマネジメント講師

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