【一首一句 その十三】三笠の山の月

【本日の一首】
天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも(古今集、羈旅、406)

(鑑賞)
百人一首の安倍仲麻呂の一首。日経の連載小説『ふりさけ見れば』も思い出しますね。
あっちはなかなか仲麻呂の中国の様子まで巡って来ない展開が嫌ですが。
遣唐使としての使命を果たすために多くのものを犠牲にした天才仲麻呂。
やはり浮かんでくるのは遠い故郷への想い、それが形になったのがこの月。
月日だったり、同じ月でも「三笠の山の」月だったり、全てを見ている月だったり、愛しいあなたの月だったり。
多くのイマジネーションを含む素敵な一首でした。

【本日の一句】
三笠山春雨上がる淡き月【ノンタン】

雨が降っていた三笠山だったが春雨が上がって、淡い月が上がって我々を照らしている。でもやっぱり言葉の端々を紡いだくらいの句ですね、おそまつ。

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