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インヴィテーション:最後までリハーサルが通る

2020/03/25(Wed.)

 今週から山下残さんの新作「インヴィテーション」の制作のためにTheatre E9に小屋入りしています。今日は後半30分を完成させるために、スピッツの楽曲のカットアップの制作と音響の演出を考えました。
 まずスピッツのカットアップについて、ロビンソンのカットアップはシンプルなアイデアで楽曲の中でも音程が跳ねる瞬間(「思い出のレコードと」というフレーズ)にフォーカスして音源を構成しました。チェリーでは「悪魔のふりして切り裂いた歌を」という歌詞がカットアップの手法にぴったりだと思い、歌詞の部分を何度も切り貼りしました。

 またやってみたい演出のひとつにマイクのハウリングを使ったシーンを提案しました。以前に山下さんとUrBANGUILDで共演した際、会場のPA装置とステージ上のマイクの距離をコントロールすることでハウリング周波数を変える技が面白かったので、今回のパフォーマンスにも応用できると考えました。以前はマイクスタンドにワイヤレスマイクをセットしてターンテーブルで回転させることでハウリングの仕組みを実現したのですが、今回はターンテーブルの準備ができないためダンサーの方にマイクを持っていただき会場内を歩くことでハウリングの周波数を変化させました。まだ音量のコントロールに苦戦していますが、明日のリハーサルでも練習を重ねていきたいです。

 作品の最後のシーンではLINEのグループ通話を用いた音響システムを提案しました。アナログな仕掛けが多い今回のパフォーマンスにおいて現代のメディア環境を利用した演出を入れたかったので、スマホを音響装置として使うアイデアのひとつとしてLINEを使いました。出演者が自身のスマートフォンのグループ通話をスピーカーで出力することで、他の出演者から流れてくる音源が再び通話に集音され、複雑なハウリングとディレイの効果を生み出します。さらにそれぞれの出演者の位置から音が発せられるため、PAを介せずに会場の観客に音を届けることができます。PAを使わずに小規模な音響装置が空間内に点在することで結果としてPAと同じ効果が得られる、というかつてから暖めていたアイデアも実現できてよかったです。
 今回のパフォーマンスでは本当に僕の自由にやりたいことを実現させてもらっています。公演のキャッチコピー「行為は空洞で、劇場は空き地だ。」にある通り、空き地で遊ぶように様々な行為が入り乱れるパフォーマンスになりそうです。
 

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