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3D都市モデルPLATEAUを利用した日照シミュレーション

日照シミュレーションを取り入れたきっかけ

我々のチームが開発した「PLATEAU Window」というアプリケーションは、風景をシミュレートするものです。
多くの企業からのフィードバックを受けて、太陽の光とその街への影響の大きさに気づきました。
これを受けて、「PLATEAU Window」に日照シミュレーション機能を追加することに決めたのです。

PLATEAU Windowとは

「PLATEAU Window」は、都市の3Dモデルを使用しているアプリケーションで、ユーザーは自由に視点を動かして、さまざまな角度から風景をシミュレートできます。このアプリでは、新しいビルの3Dデータを追加することも可能で、これにより、大型商業施設や高層マンションなどの風景を建設前に再現することができます。私たちは、このアプリケーションが都市開発分野で不動産価値を高めるのに大きく貢献できると考えています。

アプリケーション画面

日照シミュレーションの重要性

日照シミュレーションは、商業ビルのテナントにとって大きな付加価値をもたらします。
この技術により、ビル内の自然光の分布を最適化し、店舗やオフィス空間の魅力を高めます。良好な日照条件は、働く人々の生産性と快適さを向上させると同時に、顧客体験を豊かにします。
また、エネルギー効率の向上にも寄与し、照明にかかるコストを削減します。さらに、日照シミュレーションを活用することで、ビルの環境影響を低減し、持続可能なビジネス環境を構築することができます。
これらの要因はテナントの満足度を高め、ビルの賃貸率や賃料の向上に繋がり、不動産価値の全体的な向上に貢献します。

シミュレーションの検証方法と結果

検証方法

街の写真を撮影し、それを基にして、同じ経度、緯度、高さ、および日時に合わせた太陽の位置をシミュレーションしました。これにより、日照シミュレーションの精度を確認しました。

撮影した写真
シミュレーション結果
シミュレーションの影の境目を赤で表現して実写に重ね合わせた

結果

実際の写真と見比べると、影の位置はかなり近い位置になっていると思います。

高精度なシミュレーションが実現できる仕組み

都市3DモデルPLATEAUは、国土交通省が主導して日本全国の都市を3Dモデル化したものです。これは一定の基準に基づいて3D化されており、精度が担保されております。
また、PLATEAU Windowで使っているシミュレーターでは太陽の軌道も再現したもので、日時・時間・経度緯度を入力する事で、太陽光を再現できます。
したがって、PLATEAUの3Dモデルと太陽の軌道のシミュレーションが緯度、経度、高さを基準に作られているため、精密な日照シミュレーションが可能という結論に至ります。

今後の課題

私たちの次の課題は、日照シミュレーションのさまざまな利用方法を探ることです。
現在のシミュレーションはビル単位で正確に行われていますが、個々の一軒家のような小規模な建物では大きな誤差が生じる可能性があります。
これは、ビルの3Dモデルが完全に精密ではなく、扱いやすさのために形が簡素化されているためです。
大型ビルではこの省略が影響しないかもしれませんが、一軒家では重要な差になることがあります。
さらに、私たちが使用している渋谷のPLATEAUデータは2020年に作成されたもので、その後の新築や取り壊しにより変化しています。このタイムラグも誤差の原因になります。

これらの誤差を考慮した上で、日照シミュレーションをどのように有効活用できるかを探求することが、今後の課題です。

今後の展望

我々は「PLATEAUと関わり続け、社会に役立つ事を行いPLATEAUを広めたい」という志の下、開発と発表を続けています。
今後もこの活動を継続していくつもりです。ご質問やご意見があれば、お気軽にコメントしていただけると幸いです。

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