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Mustarde の交差皮弁法

Mustarde の交差皮弁法に関してです.
※以下は PEPARS No6:16-25, 2005 より引用しています.


上眼瞼において直接縫縮のできない大きさの全層欠損には Mustrade 法が良い適応となる.


Mustrade 法は下腱板動脈弓を含む軸走皮弁であり,動脈弓を利用することから茎を内外側どちらにも持つことができる.一般的には茎は欠損に近いほうが皮弁の移動が容易であるため外側欠損に対しては外側茎,内側欠損に対しては内側茎が良いとされる.

皮弁移動後の下眼瞼欠損に対する再建を皮弁移植と同時に行う1次再建と後日行う2次再建がある.茎部の処理を考慮すると内側茎で一時再建するのにやや難がある.下腱板動静脈弓は瞼縁より約 3mm 下方を走行するのでこれを含む茎は 5mm 程度の太さとする.

術中のポイント
①皮弁を十分に回転し,皮弁先端を残存眼縁に縫合し,その連続性を自然な外観にする.
②残存眼縁が存在しないときは皮弁先端を外眼角靱帯に固定する.
③睫毛の内反や外反が生じないよう皮弁の面の角度に留意する.
④皮弁先端を適切な位置に固定した後皮弁を十分に回転した位置で辺縁に縫合する.皮弁の回転が不十分なときは皮弁が後戻り状態で縫合されてしまうので茎切断後再建した上眼瞼に歪みが生じる.
⑤眼瞼挙筋断端を移動した下眼瞼の腱板に固定する.切除範囲が広く残存挙筋腱膜が新しい腱板位置に届かないときは牽引筋腱膜のできるだけ下方に固定する.
⑥下涙点および涙小管を温存する.
⑦下眼瞼再建時の回転前進頬部皮弁を高くデザインし,再建下眼瞼の兎眼を防止する.↓下眼瞼の切開線と Cheek flap がデザインされています.

スクリーンショット 2020-05-01 13.18.00


⑧下眼瞼後葉を硬口蓋粘膜で再建するとき,約 1.5mm 前葉側にはみ出るように移植する.これは術後移植粘膜の拘縮による内反を防ぐためである.
⑨下眼瞼の睫毛再建を行う.眉毛から採取した柱状植毛片を利用.毛流を放射状にするため柱状植毛片を2分し,縫合固定する.

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インパクトは強いですが,上眼瞼の広範な全層欠損の際には非常に有用な再建方法となります.

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