街を見下ろすワンピース




このワンピースとの出逢いは私の人生のターニングポイントと言っても過言ではないかもしれない。

私はそれまで膝より下のいわゆるロング丈の服を持ってなかった。ほんとうに。それには2つの理由があった。

一つ目は「野暮ったいから。」

単純にショート丈の方が可愛いと思ってた。ミニワンピース、プリーツスカート、ロングTシャツにショートパンツ、当時私の憧れていたアイドルたちもそんな格好をしてて可愛かったし、そんなファッションが好きだった。

それに私もまだ未熟だったんでしょう、社会に通ずる偏見を信じていました。
"女性は若いうちしか脚をだすファッションを楽しめない。少なくとも30を超えたら脚を出すことはみっともない。" 
ならばいま、若いうちに脚を隠してどうする?これからの人生、脚を出せるタイムリミットは刻一刻と迫っているのに....
いま思うと縛られてたんだなー無知だなーと呆れます。でもそう思ってる方々、少なくはないと思う。

二つめは、「脚が太いから。」

これを理由に脚を出すファッションを好むことは矛盾しているように思えるけど、私には独自理論があった。

物心ついたころから自分の太腿が嫌いだった。太くて、デニムパンツを履きようものならパンパン、ましてやスキニーデニムは尚更。だから大学生になってもロングデニムパンツは一本も持ってなかった。でも、デニムショートパンツは持ってた。ショートパンツは、裾が広がってるものが多くてシルエットが多少ボケると思ってる。

たとえばハイウエストにすれば脚を長く見せられるし、そのうえハイヒールをはけば更に脚が長く見えて、そのぶん足が細く見える。
当時、私が仲良くなった友達も同じようなコンプレックスを抱えていて、「脚を焼けば黒くなって脚が更にしまって見えるんじゃないか?」とか、いかに自分たちのコンプレックスを対処するか試行錯誤して、悩みを共有していました。

その対処法に納得してたし、みっともない体型が少しでもマシに見えればいいなって、ただそう思ってた。

でも周りの目は違った。「脚を出してるってことは男に見られたいからだろ」「肌を露出して歩いているのは触ってくださいと言ってるのと同じだ」

その言葉が世間で飛び交ってるのを知った時、驚愕した。まだ未熟だったし、その考えをはっきりと否定する言葉が「自分のためにしてる」それ以外思いつかなかった。
(今でもこんなことを言う人たちがいますが、それは自信をもって否定できます。女性が肌を出すことが、性犯罪を正当化する理由になることは絶対にあってはならないことだと思います。当たり前に全人類がそう思うべき。)


そのとき初めて私の中で、脚を隠す服を着なきゃいけないのかな、という想いが芽生えました。

可愛いと思う服を着たい。ミニ丈の服を着て出かけたい。だけどそれは下品なこと。ロング丈の服を着ていればそう言われなくなるけど、可愛いと思えるものがない......

そんな想いを抱えながら、ラフォーレ原宿をお散歩してた。

そんな時に、出会ったんです。

私の大好きなミルキーな水色、白のレース襟、大きなシェルボタンの、ショウウィンドウに飾られたロング丈のワンピース。

一番手前にかけられていたワンピースを手に取って眺めていたら、とんでもなく綺麗な店員さんが、「このワンピース可愛いですよね、最後の一点なんですよ。」って話しかけてくれた。

「着てみていいですか?」と言って、私は試着室に入った。袖を通して鏡を見て、即決した。(袖を通す前から分かってたかも。)

「買います」と言いながら試着室から出てきた私に、その綺麗な店員さんは「メンバー登録してくれたら、1000円オフになります!」と言って、私を店内のひとりがけソファに案内して手順を教えてくれた。

情報入手しながら店内を眺めたり、大好きなビートルズのサウンドにうっとりしたりした(レベッカブティックの店内には常にビートルズの音楽がかかっている)。
店員さんと話し込む常連さん。

なんて素敵な服屋に巡り会えたんだろう!大好きな水色のワンピース、ほんとうに幸運だと思った。

「このワンピース、こんど友達と遊ぶ時に着てってみよう、きっと私がこんな長い丈を選んだことにびっくりするだろうな〜」とか考えながら家に帰った。

帰って服を畳んでしまって、「そういえば今日の服屋さん、なんて名前だったかな?」とか調べた。

調べたら、公式サイトが出てきた。

" LEBECCAboutique "

すぐに、ブランドディレクターである赤澤えるさんの存在を知って、服に名前がつけられる理由を知って、その水色のワンピースにも名前があること、ストーリーがあることを知って、愛おしい気持ちが溢れた。



このブランドを愛していくんだろうと思った。

多分こんなに長い文章になるのは、最初で最後だと思う。こんなに思い出がある服ない。それくらい、このワンピースには思い入れがあって大好きで特別。

#LEBECCAboutique
#街を見下ろすワンピース
#ライトブルー



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