スズキユウリ Playing with Sound @ポーラミュージアムアネックス。
◼︎見て・触って・描いて・話しかけて…身体全体で「音と遊ぶ」展覧会
楽譜が読めなくても、楽器が演奏できなくても。
大人から子どもまで、だれでもタイトルの「Playing with Sound」のとおり「音と遊ぶ」ことができる展覧会が銀座で開催されています。
スズキユウリ Playing with Sound @ポーラミュージアムアネックス。
ロンドンとストックホルムを中心に活動するアーティスト、スズキユウリさんの日本初の大型個展です。
「音と遊ぶ」とは、音を「聞いて」楽しむだけではなく
触れて・声を発して・そして絵のような「楽譜」を描いて
楽器を”演奏する”ことができなくても、音を奏でて遊ぶことができる作品の集まった展覧会でした。
◼︎ぜひ触って「体感」して欲しい作品
今回の展示作品は4つ + 映像による作品の紹介。
キャプションはなく、展示の横にその「作品」で大人も子供も遊んでいる映像が流れていましたが、とにかく作品に実際に触れて見るのが1番!
(写真撮影もOKでした。)
● Looks Like Music ●
会場に入り口でまず目をひくこちらの作品。
黒いマジックで線路を書くと、ミニカーがその上を走っていくのですが、この線路の上に色を乗せて行くと…
色に応じた音を奏でながらミニカーが進んでいきます。
色を置く間隔がリズムになったり、また同じ色でもミニカーによって奏でる音が異なるのがまた面白いところ。
さらに、観る人が自由に線路と色を足して、自分の「楽譜」を描くこともできます。
● OTOTO ●
次に目に付くのは、植物やボウルなどが並べられたこちらのテーブル。
これは?と触れてみると・・・
なんと、電気を通すものならなんでも楽器に変えてしまうシンセサイザー!
ダンボール製のギターやピアノから、植物や、水を張ったコップ、さらには鉛筆で描いた絵だって(黒鉛は電気を通す、なんて、理科の実験みたいで懐かしい!)楽器になってしまうんです。
このキットは今年販売もされたそうです。自分だったらどんなものを楽器にしよう?!とワクワクしますね。
● Garden of Russolo ●
大型のこちらのスピーカー群は「騒音を異なる音に変換する」作品。
スピーカー一個ずつが異なる機能を持っていて、このスピーカーに話しかけると
メロディにして返してくれたり
子供の声を大人の声にしてしまったり
逆再生で返してくれたり。
自分の発した声が思わぬ形で返ってくるのが面白い作品です。
● The Sound of the earth ●
この黒い地球儀は、実は球体のレコード。
スズキさんが世界を歩いて集めた世界中の音が断片的に記録され、30分で聴覚の世界旅行ができてしまうんです。(といっても、各国の民謡などがつなげられたりしているわけではなく、もっと「断片的」な音の世界です。)
地球儀の場所と、その音を収集した場所は一致するようになっているそうです。例えば極の近くに針があるときにはとても静かで、南米などに行けばとてもにぎやかなノイズが聴こえてくるといった感じ。
今回の展示では針が落とされていなかったのがちょっと残念でしたが。
…と、展示を全て紹介してしまったわけですが、”内容を知る”だけよりも、ぜひ実際に会場で”体感”してもらいたいなぁと思う展示でした。
自分で「作曲」をしたり「演奏」をしたり、というのもひとつの楽しみ方。
そんな演奏や偶然に生まれるセッションを聴くのも、
見知らぬ人がそれらのオブジェクトを演奏する様子を鑑賞するのもまたひとつの楽しみ方。
様々な楽しみ方・感じ方のできる展覧会は、9/23まで。
入場無料なので、銀座のお散歩の途中にふらりと入って見てはいかがでしょうか。
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◼︎DATA◼︎
会期:2014年8月22日(金)〜9月23日(火)(会期中無休)
時間:11:00~20:00 (入場は閉館30分前まで)
入場料:無料
会場:ポーラミュージアムアネックス(銀座) (access)
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会期:2014年11月28日(金) -12月 27日(土)
時間:10:00-20:30(※11月29日のみ13:00から/最終日は17:00まで)
入場料:無料
会場:静岡市クリエーター支援センター(CCC) 2Fギャラリー (access)
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▼オマケ▼
今、スズキさんの作品が見られる展覧会が都内でもうひとつ催されています。
こちらは東京都主催の若手アーティストの発掘・育成事業である「トーキョーワンダーサイト」のレジデンスプログラムに参加したアーティストのグループ展。
スズキさんがストックホルムに滞在して制作された作品が展示されています。
スズキさんが集めた音を詰めたレコードを、鑑賞者が自由にジュークボックスで再生してその場の音の風景を作り出す「Juke Box meets Tate Britain」。今回は立体作品としてのイメージのみの展示だったのがちょっと残念でしたが、映像でその展示の様子を知る事ができました。
「Dead Wax」はという作品は、「雪につつまれた冬のストックホルムの静けさの中に聞こえた信号機の音」を、レコードのが最後まで終わった後の無音部分のノイズを並べて作り出したもの。
数台のプレイヤーから静かで単調な音が繰り返し再生される様子には、ちょっとした不安感を煽られつつも、なんだかその場を離れがたい心地よさのある、不思議な雰囲気の部屋でした。
ポーラミュージアムアネックスの展示とは雰囲気ががらりと変わりますが、ぐっと気持ちが引き込まれ、強く印象の残る展示でした。
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