100年の森で 現代アート散歩 ー神宮の杜芸術祝祭 神宮の杜 野外彫刻展「天空海闊」 @明治神宮 内苑
今、美術館はほとんど閉鎖だし、なにより人混みは避けたいけど… せっかくのぽかぽか陽気、どこか換気の良い場所でお散歩でもできないかな…
そんななか、明治神宮ではじまったのが「神宮の杜芸術祝祭」。今年、明治神宮が創建100年を迎えることを記念して、1年間開催される芸術と文化の祭典です。
ということで、そのなかの展覧会のひとつ、2020年3月20日からはじまった野外彫刻展「天空海闊(てんくうかいかつ)」へ。3月21日にオープンしたばかりの原宿駅の新駅舎を通って、明治神宮へ向かいます。
(旧原宿駅の駅舎がよく見渡せます)
今回の屋外彫刻展で展示されるのは、名和晃平さん、船井美佐さん、松山智一さん、三沢厚彦さんの4名の立体作品。神宮内苑の森の中に点在しています。明治神宮は今年で100周年ですが、この神宮の森は1915年から育林が始まった「人工の原生林」。風の強い日でしたが、大きな木が風を防いでくれるのか、内苑のなかは静かな空気が流れていました。
■《Wheels of Fortune》 / 松山智一
最初の鳥居をくぐってしばらく歩くと左手に現れるのは、松山智一さんの《Wheels of Fortune》。鹿の角と車輪のモチーフを組み合わせた作品。ステンレス製のオブジェの中に、森の風景が映り込みます。
■《White Deer(Meiji Jingu)》 / 名和晃平
続いて、明治神宮ミュージアムの入り口には名和晃平さんの《White Deer(Meiji Jingu)》。宮城のReborn-Art Festivalや、東京ガーデンテラス紀尾井町町にも同じタイトルの巨大な作品がありますが、こちらは、実際の鹿のサイズ。「ヒューマンスケール」を意識して作られたのだそうです。
隈研吾さん設計の明治神宮ミュージアムは、残念ながら現在は休館中。
(写真は開館時に撮影したもの。木材を基調として、外の森とつながった気持ちの良い空間です。)
桜ではなく紅葉樹の緑が広がる参道ですが、一角には日本博のイベントでたくさんの桜の枝が展示されていました。
■《Animal 2020-01B》/ 三沢厚彦
本殿に向かう曲がり角を曲がらずに、そのまままっすぐ歩いていくと、神宮会館の横にいるのは、三沢厚彦さんの《Animal 2020-01B》。神社の森の中に白虎!とは、なんだか不思議な感じもしますが、神獣である四神の1つなんですね。遠くから見ると木彫で掘ったような毛並み(こちらの作品はブロンズ)が可愛らしくて、でも、ぎょろりとした目は凄みがあります。
■《Paradise/Boundary-SHINME》 / 船井美佐
代々木口の北門を左折し、宝物殿に向かって歩いていくと、少し奥まったところに船井美佐さんの《Paradise/Boundary-SHINME》。鏡をカットして馬や植物のモチーフを表した作品は、まわりの森の風景を映し込んで、光学迷彩のように風景に溶け込んでいます。なかなか全体像が捉えられず、角度を変えてみていると、ふと、色合いの違う奥の植物がのぞいて、輪郭が見えてきます。時間帯によっても見え方が変わってきそうな作品です。
宝物殿も現在は工事中。宝物殿前は芝生広場になっていて、桜もきれいでした。
■ 1年を通じて3つの美術展を展開
「神宮の杜芸術祝祭」は、この野外彫刻展「天空海闊(てんくうかいかつ)」(2020年3月20日(金)~12月13日(日))だけではなく、明治神宮ミュージアムを会場とした現代アート展「紫幹翠葉(しかんすいよう)」(2020年6月12日(金)〜9月27日(日))、宝物殿を会場として明治以降の日本近代美術から現代美術までの彫刻・立体の系譜を展示する「彫刻の系譜―平櫛田中から名和晃平まで「気韻生動(きいんせいどう)」」(2020年7月15日(水)〜9月30日(水))が予定されています。こちらも楽しみです。
(webサイトで作品mapをみたり作品解説を聴くことができます)
思い切り外には出づらい昨今ですが、新緑が美しい森のなかで、ふらりとアート鑑賞散歩ができるのは嬉しいです。
明治神宮ミュージアムは現在休館中ですが、過去に訪問した際、この100年の森の成り立ちについての説明などもあり、興味深かったです。神宮の杜 野外彫刻展「天空海闊(てんくうかいかつ)」は、2020年12月13日(日)までです。
【展覧会概要】神宮の杜芸術祝祭
神宮の杜 野外彫刻展「天空海闊(てんくうかいかつ)」
日時:2020年3月20日(金)~12月13日(日)
オープン時間:明治神宮開園時間に準ずる
会場:明治神宮 内苑
百年の杜のアート「紫幹翠葉(しかんすいよう)」
日時:2020年6月12日(金)~ 9月27日(日)
会場:明治神宮ミュージアム
彫刻の系譜―平櫛田中から名和晃平まで「気韻生動(きいんせいどう)」
日時:2020年7月15日(水)〜 9月30日(水)
会場:宝物殿
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