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”建築家・ガウディ×漫画家・井上雄彦” 展(東京・金沢・長崎・神戸・仙台 巡回)

※東京展が終了し、現在金沢展巡回中のため、TOP画像など更新しました。

◼︎ガウディの資料約100点、井上雄彦さん書き下ろし作品約40点。  −時代もジャンルも異なる ”2人”が主役の展覧会。

2026年、あのサグラダ・ファミリアがついに完成するそうです。


(展覧会の会場でも流れていたサグラダ・ファミリア完成予想動画。)

「作りながら補修する」なんていう状態で作り続けていたものが、技術の発展でついに「造る」スピードが上回り、完成の目処がたったのだとか。

そんなサグラダ・ファミリアを始め、グエル公園やカサ・ミラなどの設計を手がけたガウディをテーマとした展覧会が、六本木を皮切りに、金沢・長崎・神戸・仙台を巡回します。

(写真:2008年 バルセロナにて撮影)

六本木での展覧会、初日(2014.7.12)に伺ってきました。

展覧会はガウディの生涯を軸に進み、ガウディ自筆のスケッチや図面(約100点)や模型の展示。並行して、井上雄彦さんによるガウディの生涯、とりわけ人間像にフォーカスした漫画・イラスト約40点が展示されます。

(写真:2008年 バルセロナにて撮影)

・・・なんて書いてしまうと、井上雄彦さんの作品がオマケのようですが、展覧会のタイトル「建築家・ガウディ×漫画家・井上雄彦 ーシンクロする創造の源泉」の通り、どちらも主役!となっている展覧会でした。


◼︎そもそも、何でガウディ×井上雄彦?

2011年に、井上雄彦さんは書籍の企画でバルセロナを訪問し「PEPITA 井上雄彦 MEETS ガウディ」というガウディの人間像に迫るイラスト集を出版されているそうです。
その際、サグラダファミリアのファザードに日本人代表として言葉を刻まれているそう。知らなかった!

写真:「pepita 井上雄彦meetsガウディ 新装版」Amazonページより

今回は展覧会のために、バルセロナの”カサ・ミラ”の一室にアトリエを構え、サグラダ・ファミリアの降臨の正面が見えるアパートに寝泊まりし、その土地で1ヶ月「生活」しながら作品を制作されたそうです。


◼︎図面・模型・絵画・映像、充実した展示。

会場に入ると、まずは3面スクリーンでバルセロナの街並みに溶け込んだガウディの美しい建築の数々の映像。
そこから外に出ると、和紙に墨の濃淡で描かれた、ガウディの幼少時代をイメージした1mを超えるサイズの大きな水墨画が目に飛び込んできます。

(写真:公式図録より。
※実際の展示では、この中にガウディの幼少期をイメージした風景がぎっりしと書き込まれています!)

井上さんの作品を「スラムダンク」しか読んだことのなかった私には、まずここで大きな衝撃。墨の濃淡や滲みを利用しつつも、古典的な水墨画のイメージとも大きく離れた作品がそこにはありました。

それから和紙と墨の組み合わせでガウディの生涯を描いた漫画、時折大判のイラストが続きます。

(写真:公式図録より。
※漫画も実際の展示ではもっと描き込まれています)

一方で、学生時代の設計図にはじまり、カサ・ミラやカサ・パトリョの図面など、ガウディ自筆の図面・スケッチの展示も並びます。
写真でよく目にするのは、建物の外面・全体像ですが、彫刻の細部、それから普段あまり目にすることのない建物の内部まで彼の思想が表れていることを感じます。

(写真:2008年 バルセロナで撮影)

私は建築に詳しくはないですが、写真や映像、模型も多く展示されており、建物をイメージしやすく構成されています。ガウディがサグラダ・ファミリアの設計の際にも利用したという、重りを吊るした鎖の模型も展示されていたり。

展覧会の最後には、10mにも及ぶ、日本最大級の和紙に描かれた井上さんの作品があります。「紙の材料や水の力も活用した絵を描きたい」と、紙をすくところから自身の手で行ったという、大きいけれども静かな作品です。


今回の展覧会でびっくりしたのが、井上さんの和紙に描かれた作品に何の覆いもなく、立ち入り禁止の線もひかれていないことです。和紙の風合い、墨の濃淡や筆遣いを本当にすぐ目の前で、ガラスの反射などを気にすることなく見ることができます。
(展覧会場の壁にも鉛筆で井上さんのイラストが描かれていたり。)

そういえば、井上さんの「あれから10日後ー」の書き下ろし漫画も、高校の黒板に描かれ、残らない ”はかない” ものだったなぁとふと思い出しました。漫画というマス向けのプロダクトを造っている一方で、同じ作者が"その場にいかないと見られない" "非常に壊れやすくはかないもの" も作品として発表しているというのが興味深く感じられました。

六本木での展示は9/7まで。
井上雄彦さん好きにも、普段あまり漫画を読まないという方にもおすすめしたいなと思う展覧会でした。

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◼︎DATA◼︎

■ ガウディ×井上雄彦 -シンクロする創造の源泉-

※金沢展※

会期: 2014年10月4日(土)~11月5日(水)※会期中無休

開館時間:10:00〜18:00(最終入場17:30)

料金:大人1300円、中高生1000円、小学生800円(当日券)

会場:金沢21世紀美術館・市民ギャラリーA(access)


※東京展【終了】※ ◀︎私はこちらの展示に行きました。
会期: 2014年7月12日(土)~9月7日(日)(※会期中無休)
開館時間:午前10時~午後8時(最終入場午後7時半)
会場:森アーツセンターギャラリー(東京・六本木ヒルズ 森タワー 52F)(access)

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▼オマケ▼
今回はグッズについて。

以前「トーク」に書いたとおり、もともとは今回の展覧会に行くつもりではなく、森美術館の帰りにミュージアムショップで見た画集をきっかけに飛び込んでしまったもの。

今回の展覧会の画集は、このように「ガウディ」編と「井上雄彦」編の2冊セットになっています。(実際のところ、展覧会も「コラボ」というよりも、2つの別々の展覧会が1つの会場で行われているという印象はありました・・・)

井上雄彦さん編は、和紙に印刷された珍しい装丁になっています。
ただ、この画集、6月に刷られた際にはまだ井上さんの作品が完成していなかったそうで、まだまだ描きかけの状態で掲載されています。
展覧会を見る前はこの画集ですごい!と思ったのですが、完成した作品群を見た後にみると全然違う…(最大の作品に関しては、まだ主役が描かれていない…!)

「初版のため」と書いてあったので、2版目以降は完成型が掲載されるのだと思います。ただ、制作途中の作品がみられるというのは、それはそれでなかなか無いことなので面白いかもしれませんね。
(※8月初旬に再度伺った際にはまだ初版本が積まれていました。)


3階のミュージアムショップは、「井上雄彦公式ショップ」のコーナーができていました。

その中には、テラダモケイの「スラムダンク」シリーズが!いろんなシーンが、紙のミニチュアで再現されていて、スラムダンク世代は思わず盛り上がってしまいます…

ミュージアムグッズのバリエーションてすごいなぁ…

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