やさしい彫刻といっしょに ここちよい時間を過ごす公園 −アルテピアッツァ美唄(北海道)
北海道にあるアートな公園といったら、イサムノグチさんのモエレ沼公園を思い浮かべるでしょうか?
モエレ沼公園ほど有名ではなく、ガイドブックにもあまり情報がありませんが、北海道旅行でおすすめしたいとても心地よい公園に出会いました。
札幌から車で約1時間。
イタリア語で 「アルテ」=芸術 、「ピアッツァ」=広場 という、ちょっと聞き慣れない響きのこちらの公園。
とても開放的で心地良く、そしてとても優しい彫刻作品に、文字通り「触れられる」場所なんです。
■ 山と空が広く見渡せる ここちよい公園。
6万5000㎡という広さを有するこちらの公園。
中には川や池があったり
大きな芝生の山があったり
森があったり
…このかわいい木造の建物は?
実はこの公園、廃校になった学校を利用して作られたのだそうです。
そのままの校舎や運動場も残されていて
校舎はギャラリーやショップに
体育館も自然光の入る大きな展示室になっています。
自然光の下で作品を鑑賞するので、数時間滞在しただけでも光の変化で作品の表情が変わってきたのが面白かったです。
きっと、季節が変わったらまた別の表情を見せてくれるんじゃないかなと思います。
■石の暖かみを感じる とても”やさしい”彫刻作品
ここにある彫刻作品は、美唄市出身で現在はイタリアを拠点に活躍されている彫刻家・ 安田 侃(やすだ・かん)さんの作品です。
安田さんの名前にピンとこなくても、作品は、例えば東京ミッドタウンのこちらの作品▼など、色々な場所で目にしているかもしれません。
(▲安田 侃さんHPより |「意心帰」/ 安田 侃 / 2006 )
安田さんはイタリアの大理石の産地に住み、石切場から気に入る大理石が出てくるまで何ヵ月でも待つほどこだわった石で制作されているそうです。
暖かい石の色味と、とても滑らかですべてを包み込んでくれるような優しい曲線でできた作品には、こどもだけでなく大人でも思わず触れたくなってしまいますが
こちらの彫刻作品は、誰でも触ったり遊んだりして良いそうです。
(▲ブロンズや黒大理石の作品もあります。素材は違っても、どれも滑らかな表面と優しい曲線で構成された作品です。)
ギャラリー内で安田さんのドキュメンタリーDVDが見られるようになっていましたが、ご本人の身体以上のとても大きな大理石を、優しく撫でるように削っていく様子が印象的でした。
(▲大理石のざらりとした風合いを活かして制作されている部分もありました。大理石って最初からすべすべの滑らかな表面なのではなく、根気よく磨き続けて”触れたくなる”手触りになるんだなという事に気づきます。)
かつては全国有数の炭鉱地として栄え、様々な文化やスポーツなどで活気づいていたという美唄市。
石油エネルギーへの転換による閉山で人口は大きく減少してしまったそうですが、安田さんの彫刻作品によってその場所が文化の新しいエネルギーが作り出されているような印象を受けました。
びっくりしたことに、この気持ちの良い公園は、誰でも無料で入れるんですね。
校舎の入り口に、公園の維持管理のための募金箱がありました。
とても気持ちのよい時間を過ごしたあとには、自然と入場料がわりにいれていきたくなりますね。
(▲募金のお礼として、公園の地図をいただけるようになっていました。私は帰り際に募金をしようとして気づいたのですが…
公園内に地図がなかったのがちょっと不便だったので、初めに気づけば良かったなぁというのが少し心残り。)
公園内には窓から作品がよく見える、居心地のよい ”カフェ・アルテ” もあります。
(▲店内にも安田さんの彫刻作品や写真集が。)
北海道の他の観光地からは少し離れたところではありますが、ここで心地よい時間をすごすことだけを目的に足を運びたい、そんな場所でした。
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■DATA■
アルテピアッツァ美唄
開館時間: 水曜日~月曜日=午前9時~午後5時
休館日: 毎週火曜日、祝日の翌日(日曜日は除く)、 12月31日~1月5日
入場料: 無料
住所: 〒072-0831 北海道美唄市落合町栄町 [Access Map]
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▼オマケ・その1▼
普段は実際に行ってみてオススメしたい場所だけを書いていますが、今回のオマケは、アルテピアッツァ美唄といっしょに”行きたかったなぁ”と思うところです。
アルテピアッツァのある美唄市周辺(空知(そらちちほう)地方)が、以前は炭坑の街として栄えていたこと
過酷で危険な環境の中で多くのひとが働いていたこと
そして、炭山の閉山によって多くの人がその地を去っていったこと
この公園から、そんな地方の歴史を少しだけ知ることができて、もう少しそんな歴史にふれてみたいなと思いました。
(▲写真は美唄市HPより)
三菱美唄炭鉱跡地の一部を整備した公園で、”石炭を運び出すのに用いた立坑巻き上げ機(深さ170m)2機、電気関係を管理する開閉所、石炭を貯蔵する原炭ポケットの一部を保存し、往時の姿を今に伝える貴重な公園”(美唄市HPより)なのだそうです。
(▲写真はアルテピアッツァ美唄HPより)
こちらも、廃校になった中学校跡地に作られた公園で、炭坑関連の資料が見られる「三菱美唄記念館」があるそうです。
また、こちらにある安田侃さんによる彫刻「炭山之碑(やまのひ)」は炭坑で亡くなった方の慰霊碑の意味を持っているそうです。
その他、今でも残っている”産業遺産”についてはこちら▼のサイトに写真とともにまとめられていました。
今回は下調べが不十分で行く事が出来ませんでしたが、次にアルテピアッツァ美唄に行くときには、こちらの産業遺産もいっしょに巡れたらいいなぁと思っています。
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▼オマケ・その2▼
北海道在住のならざきむつろさんに
「『美唄焼き鳥』と『美唄焼きそば』も忘れないようにしなきゃですね」とコメントいただきまして…
”美唄焼き鳥” …?と調べてみると…
美唄焼き鳥(びばいやきとり)は、鶏肉と、鶏レバーや内卵、砂肝、心臓などの内臓および、タマネギを、一つの串に刺して焼く、北海道美唄市独特の焼き鳥。(Wikipediaより引用。(画像も))
これは…美味しそう!!
じゃぁ、"美唄焼きそば" は?
北海道美唄市に所在する製麺メーカー角屋(かどや)が発祥の袋に入った焼きそば。焼きそばという名称であるがゆで(蒸し)そばに調味液を絡めたもの。麺はストレート。麺のみで具材は無し。美唄では袋を破り、箸を使わずそのまま食すことが定番となっている。
(Wikipediaより引用。画像は角屋HPより)
…! ソフト麺風の見た目のインパクトもすごかったけど、焼きそばを菓子パンのように袋からそのまま食べるなんて、考えた事もなかった!!
グルメネタには疎いのですが、コレは食べてみたかったなぁと後悔しました…残念…
なお、元祖・美唄焼き鳥のお店は東京にも1軒あるそうなので、行ってみたいなぁと思っています▼
ならざきさん、情報ありがとうございました!
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