デジタルマーケティングの世界は先行者利益の世界である。


デジタルマーケティングの世界は先行者利益の世界である。先に先行したものが成功する。したがって広告代理店から紹介された時点ではもうかなり先行者利益は消失している。先行者が高い利益を得ることができるが、それは半年から1年で消失するので次の先行者利益を得る必要がある。少なくともデジタルマーケティングの知識は浅い人間が「こういうものをやったらどうだ」というのであれば、それは「株の知識のない靴磨きの少年が株を買ったらよい」と進めるようなものだから、もうかなり遅い。

多くの場合、経営層はデジタルマーケティングのことは知らない。というか、経営者はもっとほかのことを勉強すべきであり、デジタルマーケティングの各論まで勉強しなくてよい。しかし広告代理店に丸投げというのも危険である。広告代理店は、どうしても売りたい商品を売りがちである。またミスのない商品を売りがちである。そこそこ成果がでるような安定した商品を持ってくるので先行者利益を得にくい。広告代理店としては紹介して全く当たらなかったときに言い訳ができないので、そこそこ成果の出る無難な商品を持ってくることがおおいのだ。

実際デジタルマーケティングの担当者としては、本質的な思考力の高い人間を選ぶべきであり、デジタルマーケティングの各論まで知らなくてもよいが、思考力の高い人間である必要はある。難しそうに思える概念でもそれを置き換えるとつまりこういうことであると単純化できる必要がある。何が幹で何が枝葉かを見抜く直感力が必要である。「つまりそれは単純化するとこういうことではないですか?」という思考が必要である。

デジタルマーケティングの世界が変化しても人間は変化しない。激しい動きのデジタルマーケティングの世界と言われるが実際動いているのは全体の2割である。8割の部分は変わらない。この業界で何か販売している人はこの2割の部分を大げさに話しているだけである。そうであるから、「本質的に人間とは何か」という根本的な人間理解の深さがマーケティングには必要である。この本質的な理解ができないと良いマーケティングはできない。そういう本質的な人間理解能力の足りない人間が、その部分をAIに頼るようになると、本当にマーケティング担当者は無能化していく。AI推進を進めていくことが将来的に自分の存在価値を無くしていることを理解しなければならない。

こういう時に人類はこのように動く。個人ベースではこう捉えるが、それが集団になるとどうなるか。という推測能力が必要である。

残念ながらAIにはこれはできない。いくらデータを入れても、AIにこれは判断できない。AIに入力できるデータは、極めて少ないからである。

そしてそもそも予測というのは極めて難しいものなのだ。明日どうなるかというのは無数の要因により変化する。そしてその無数の要因とは「人の意思」である。様々な人間の思惑が交差して結果が変化する。この人の意思をデータにしてAIにインプットすることは困難である。それは「その人が何を求めているのかは本人も含め、誰も知らないためである。」人は思っていることと違うことを話すときもあるし、欲しいと思っていないものを購入したりすることもある。つまり、人の意思は無自覚の範囲が大きくこれは結果にならないことが多いのだ。このデータにならない部分、データから解析すると全く異なる結果になる「ランダム」の部分を予感する能力は相当程度高度である。どう計算してもそうならないはずなのに、そうなる。ことがたくさんある。それは計算するためのデータが足りないからだ。そしてそのデータは隠されている。わからない。しかしマーケティング担当者には必要なのはこの分からないことがわかることである。わからないことがわかるわけがないのがふつうである。しかし分からないことが分かることがマーケティングには必要である。

それは不確定要素だから、わからないので、計算できないというのは、2流である。こういう人は論理的で、仕事能力が高いと言われるが、それ以上の圧倒的な成果を出すことはあまりない。

この不確定要素がわかることが1流になるには必要である。

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