マーケティングの仕事は探偵に似ている

頭の悪い人が何か仕事をしたことを証拠として示すためにA/Bテストをしたり、グーグルアナリティクスのデータドリブンアトリビューションを変更したり、とりあえずMAツールを導入したりということで、仕事をした気になっている。しかし、実際マーケティングの本質は、「顧客が良い商品と判断するものを適切な人に知ってもらい購入してもらう」ということである。

良い商品であることが大切である。良い商品でなければ、売れない。売れてもクレームだらけになる。売れなくなる。そしてよくない商品を売っても社会は少しもよくならない。だからよくない商品は売ってはいけない。

もし顧客にとって良い商品でないならば良い商品にしなければならない。そうでなければ社会は全くその商品とその会社とその会社でその商品をうるあなたを全く尊敬しない。

商品については、担当ではないので、言われたものを売るのが仕事だというのであれば、その仕事は10年以内にAIに代替されるだろう。よくない商品は必ず淘汰される。だからその会社に本当に貢献したいならば、そのことを伝えないといけない。

しかし、多くの場合、実際にこの商品がダメだと商品開発部門には話さない。そしてもし話してみてもうまく説明できないことが多い。

つまり、マーケティング担当者は「自分の商品を過小評価している」ことが多い。その価値を本当に分かっていない。

だから、売れない。

そしてその商品がよい商品かどうかは、受取者が決めることである。売る方がそれを決める権利は一切ない。だから少なくとも良い商品と判断するには相当な調査が必要なのだ。

そして誰が買うかによってもその商品は良い商品にもなるし、悪い商品にもなるのだ。

それでまずは顧客の調査をしないといけないということで、数千万もかけてアンケート調査をしたり、MAツールを入れたり、AIを入れたりしているが、これは費用と時間の無駄である。こんなのはどこにでも転がっているデータである。こういうものは本質的なデータではない。これはいわば「今日の気温は〇度です」とか、「昨日は雨が振りました。」とかその瞬間には役に立つが、すぐに陳腐化する。きわめて短期的なものである。本質ではない。明日の天気を知るためには、また数千万の費用が必要になる。つまり、MAツールをやめたらそれでわからなくなる程度の情報であれば、その程度の情報なのだ。それは極めて短期的な情報である。本質的な情報ではない。

その商品を買った人と買わなかった人 100人と1時間話した方が早い。熱意を伝えて本音を語ってもらうのがよい。100人と1時間話せば、本当のニーズが見えてくる。本当の価値が見えてくる。10分ではだめだ。何もわからない。「どうしてあなたにそんなことまで言わないといけないのだ」と本音は言わない。だからあなたの熱意で本音を聞かないといけない。コミュニケーション能力と熱意のない人が、代わりにツールやAIに頼るとそれは自分の価値はAI以下、MAツール以下です。ということを宣伝するだけである。その人の給料は段々とAIツールの利用料を上限に下降していくだろう。

自分の熱意とコミュニケーション能力を信じて、飛び込まなければならない。難しい交渉をたくさんする。そうして真理をつかむ。これがマーケティング担当者には必須である。データだけを集めて何かできるというのは相当直観力のある人間だけで普通の人間はそのまねごとをしても無理だ。普通の人間がデータ分析ごっこをしても、たいして成果は出ない。とにかく足を使って真実をつかまなければならない。なのでこの仕事は探偵に似ているような気もする。裏付けが浅い企画書を書くための数値をかき集めるのは意味がない。だから企画書が通らない。まず裏付けを取ることが必要である。



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