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【高校数学】分からないことを抱えておく勇気。

 中学生に高校数学を教えている土曜日午前。

 テーマは自由。今回は三角形の内心・外心・重心の解説に続き、文系の子も何故か大好きなチェバの定理とメネラウスの定理の証明。達成感があるのか応用は皆得意だが証明できる子は体感1割以下かな、という分野。
 因みに当塾ではチェバの定理とメネラウスの定理を適用することを「チェバる」「メネる」と言う。

 暗記な苦手な私はいつも証明を一から考え直す。
 チェバの定理は辺の比と面積比との関連ですぐに証明終了。
 メネラウスはその手法が使えず、何十回も証明したのに毎回悩むタイプである。

 少々手間取っていたら、生徒さん「ネットで調べましょう」。
 いや少し待て、もう少し分からない状態を楽しもうと言っている間にiPhoneから模範解答が。「でもよく分かりません、解説してください」。なんだか凝った内容の解答。「ネットやなんかの模範解答がいつも最適とは限らない。自分で考えよう」と言うが、分からない状態が我慢できないようだ。

 生徒さんがトイレに立っている間に考え直し、一本平行線を引きgという長さを定義、それを媒介に相似を2回適用して証明が完了。おそらくこれが最も簡潔かつエレガントな証明であろう。

メネラウスの定理の証明

 授業の終わり際、どこかに絶対的に正しい数学があってそれを真似るのが数学ではない。日々進化していて今も分からないことだらけ。最近も中学生や高校生が新しい定理を発見した。数学や物理は何日も、何週間も、何ヶ月も、何年も、何十年も疑問を抱き続けてやっと解けるもの。どうせ数学をやるなら、分からない状態を抱えておく勇気を持とう。間違いを怖がらず楽しんでやっていこう。
 そう言って授業を終えた。

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