果てしない道
大学のときのこと。
用事である講座の教授の部屋を訪れると、床で座禅を組んでおられた。
そんな大げさな意味はないが、心落ち着けるために組んでいると仰ったと記憶している。
用事が済んで雑談。そのときの言葉が今も忘れられない。
40年物理ばかりやってきたけど、物理、ここに来てようやく少し分かってきたかなと思います
大学教員なので当然その道のプロ中のプロ。
その人が「ようやく少し分かってきたかな」と
なんと厳しい果てしない道か
物理学だけでなく、人類の様々な成果物はこうやって得られて目の前にあるのかと思うと、畏敬の念を禁じ得ない。
物理学者はみな、少しでも真実に近づきたいと、果てしない努力を重ねている。報われるとは限らないとわかっているのに。
一本の数式は、ただの小難しい計算式ではない。人類の知恵の結晶だ。全てを理解することは誰にもできない。そんな不遜なことは誰も言えない。
せめて、畏敬の念を。
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