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新規ボルダージム、ホールド何買ったらいい?

前書き

 おはようございます。今回は『新規ボルダージム、ホールド何買ったらいいか』をお伝えしたいと思います。著者のくらしょーはクライミング歴23年、ジムオーナー歴10年、ロクスノ連載歴4年、その間セット業務なども多数承りましたので、多少なりとも説得力があるかな?と思います。尚、弊社ではホールド輸入販売業を行っており、この記事自体も弊社で販売する商品の宣伝広告の為のコラムとなっています。紹介するのは弊社の輸入販売ホールドですのでご承知ください。とはいえ、どこのホールド屋さんでもラインナップが豊富であればこのコラムのアドバイスは参考になると思いますので、是非ご一読くださいませ。

①前提

ジムのサイズ

 前提として、80坪前後、もしくはそれ以下のサイズのボルダージムを想定しています。次の項で顧客ターゲットの話をしますが、もし100坪以上の大きなサイズのジムを創る場合はそもそもの顧客ターゲットが変わる可能性があります。

顧客ターゲット

 大雑把ですが、ボルダージムの運営には顧客ターゲットが2つに分類されます。一つはホールド・セッターを豪華にし遠征客を主要顧客とした運営、もう一つはホールド・セッターをそれほど豪華にせずとも地元の一般の方やクライマーを主要顧客とした運営です。前者はコストやジム面積が相当必要で、都会であれば競合他社が強すぎます。そもそもそのようなジムを創りたい方は欲しいホールドが粗方決まっていると思われるので、今回は触れません。ただ、新規ジムが後者主体のジムだとしても近隣地域に遠征客を呼べるようなジムが無ければ、新規ジムというアドバンテージである程度の遠征客は呼べるかと思われます。ですがそれも新規ジムである時期だけであり、時間が経てばそのアドバンテージはすり減りますので、後者を強めに意識した方が良いかと考えます。
 というわけで後者の場合で話を進めます。

課題本数とホールド数

 ジムで提供する課題本数ですが、多いに越したことはないわけです。多ければ多いほど飽きにくいジムになります。もちろん、ボリューム・ボテが多い方が見栄えは良いのですが…。今回は必要課題数と必要ハンドホールド数の目標を以下と仮定して考えていきます。以下はすべてハンドホールド(以下ホールド)として考えた場合の数です。

8級・7級 各5本
6級~1級 各10本
初段~ 10本
合計80本
課題1本に必要なホールド数を10本と仮定して・・・必要ホールド数800個

 これにボリュームやボテが加わりますが、ボリューム・ボテ1個に付きハンドホールド0個~3個分になります。壁面が6枚の場合、1壁に作る課題本数は13本前後となります。 
 以上はラインセットの場合ですが、まぶしの場合はべニア1枚あたり〇個といった計算になります。ホールドのサイズやジムのサイズ、壁面積、予算などで変わりますが、べニア1枚あたり30個前後が目安でしょうか。バランスよくつけると少ない量ですが、足元やゴール付近など沢山ホールドをつける必要が無い場所を勘案すると充分かと思います。

②ボテ・ボリュームについて

 ボテ・ボリュームの大まかな方針に付いて書いていきます。

持てるボテがおすすめ。

 ボテはそもそも壁の形状に変化を付ける目的で設置されてきました。一方で現代ではボテそのものを保持する課題も増えています。ではどちらのボテを買うべきかと言えば、後者がおすすめです。なぜなら壁の形状に変化を付ける目的のボテは、いくら買っても課題が増えないからです。ボテそのものを保持する前提で購入する場合、サイズにもよりますがボテ1個に付きホールド1 ~3個分の課題が作れます。保持できないボリュームにしても余ったジブスやスタンス用ホールドを付ければハンドホールドとして使用できる場合は有効ですので、そのあたりも意識してチョイスすると良いでしょう。

予算の範囲内で

 先にも書きましたが、課題本数80本、ホールド数800個としたときに、ホールドだけで考えてもそこそこ経費が掛かります。昔はホールド1個1,000円で計算する時代がありましたが、今は3,000円は見た方が良いでしょう。ボリューム・ボテ1個の値段でハンドホールドが5個から10個、またはそれ以上買うことが出来ますが、ボリューム・ボテ1個につきハンドホールド0~3個分ぐらいの課題しか作れません。つまり、ボテ・ボリュームはコスパが悪いという事です。まずは予算内で必要本数のハンドホールドを確保し、余った予算でボリューム・ボテを購入する計画がよいでしょう。もしくは先にも書きましたがボテ1個でハンドホールド3個分ぐらいの活躍をする、保持できるボテを購入するとコスパが良くて良いかもしれません。

大きすぎない。出っ張りすぎない。

 同じ壁に複数のラインを作る必要がある為、あまり大きかったり出っ張っていたりすると他の課題で邪魔になります。また、沢山のボリューム・ウッドボテを設置するにしても壁面積に限りがあれば設置するのは難しくなります。ただ、薄いウッドボテに関してはハンドホールドも設置可能ですし邪魔になりにくいので、大きくても多くてもさほど問題ありません。とはいえスメアスペースを消すことになるので、多すぎると問題が出てくると思います。

シンプルなボリューム

持てる場所が複数ある、ぱっと見何処が持てるかわからないなど、保持部分がゴチャゴチャしたボリュームは飽きやすいです。シンプルなボリュームの方が飽きにくいので、できる限りシンプルなものがおすすめです。とはいえゴチャっとしてモノが良いアクセントにもなるので、いくつかゴチャっとしたものを混ぜてもいいかもしれません。そういったホールドやボリュームがジムの個性になります。

おすすめウッドボテ

以上を踏まえておすすめのボテは以下になります。

GATO PENTAGON 15 R50

薄くて持てるウッドボリュームです。幅95㎝もありますが高さ(でっぱり)が23㎝と比較的薄く、緩傾斜でも邪魔になりにくいです。もちろん表面積が広いのでスメアの制限はされます。15R20・15R30・15R40と組み合わせればウッドボリューム4個と数個のジブスで課題が1本完成しますし見栄えもするのでお勧めです。

GATO Pyramith A13

あえての持てないボテです。が、こういったもののスラブや垂壁でスタンスとして使えますし、悪いホールドの保持感を上げる用途にも使えます。フット用ホールドをハンドホールドとして使うこともできます。大きすぎないサイズ感も良いですし、もう一回り小さいGATO Pyramith A7もおススメです。カンテに付けて保持しても良し。シンプルでよいボテです。

おすすめボリューム

GATO NEST 3

(写真はDFです)
こちらは薄いものの保持感も悪めのボリュームです。垂壁では5級から作れる保持感です。NESTシリーズは1~7までありますが、1と2は比較的大きい(広い)ので新規ジムでは3以降がおすすめです。あとデュアルとノーマルが有りますが、デュアルは使用場所に制限が出てしまいマブシ的な使い方には不向きなので一般ジムにはノーマルがおすすめです。キッズのリーチ配慮にも有効です。

NEXT CYGNUS 1 DF

ネクストの看板商品。安いので限りある予算で買うボリュームとしてもおススメです。小ぶりで薄く邪魔にもならないサイズ感。1が最も保持感が良く6が最もスローピーなので、是非フルセットで通しで課題を作ってみていただきたいです。

NEXT ERIDANUS DF 1

ボリュームの保持はスローパーが最も多く、2番目にピンチ、そしてポケット・エッジは少ないというかほぼ無いです。ということでピンチでおススメの商品を紹介します。しっかり握れて力がいれやすいピンチシリーズです。ピンチだからこそ強傾斜でも頑張れるので、動く課題が作れます。

③ハンドホールドについて

ハンドホールドの種類

ハンドホールドの保持感による種類は大まかに分けて以下になります。

ジャグ(ガバ)
カチ(エッジ)
スローパー
ピンチ
ポケット
フット(ジブス)

 ホールドの種類ですが、そもそも「これはガバ」「これはカチ」と断定できるホールドばかりではなく、一つのホールドに複数の要素が入ったり中間的なホールドだったりします。。指4本入るポケットは保持感次第でガバともスローパーともカチとも呼べるし、親指のかかる部分があればピンチとも呼べます。セットには多様なホールドが必要なので、断定できるホールドだけにしないように気を付けましょう。たとえば、ガバにしても両手で持てるガバもあれば片手でしか持てないサイズもあるし、ガバ要素60%カチ要素40%ぐらいのホールドも必要だったりします。また、先の尖ったシェイプのガバはルーフで使われる前提で作られているため、初心者用に垂壁で使うと保持感と踏感の痛い課題になってしまいます。ただひとえにガバといってもバランスよく揃える必要があります。
 カチを中心に図を作ってみましたが、このホールドは何だと言えない白い空間が結構広くて、でもこの空間にいるホールドも大事かつ必要なホールドだったりするので、ホールドは奥が深いですね。

ハンドホールドの比率

 ハンドホールドの大まかな比率のおすすめについて、以下になります。

ジャグ(ガバ) 40%
カチ(エッジ) 20%
スローパー 10%
ピンチ 10%
ポケット 5%
フット(ジブス) 5%
あと何か 10%

 とにかく大事なのがジャグ。全ての課題のスタート&ゴールはほぼガバですし、優しい課題はほぼ全てガバ。強傾斜ではすべてカバでもそこそこ難しい課題が作れます。ガバで高難度課題が作れても保持感の悪いホールドで優しい課題は作れませんので、とにかく保持感のいいホールドを多く購入することをお勧めします。
 カチ・ピンチ・スローパー・ポケットのバランスはお好みでいいとおもいます。カチはどんな課題でも使用するホールドなので多めに、ポケットが一番状況を選ぶので少な目にしました。また、前述していますがボリュームはほとんどがスローパーとピンチなので、ボリュームをどれだけそろえるかによってバランスを変えてもいいかもしれません。
 フットホールドに関してはあえて買わない事が多いですが、手で使う前提で買ったホールドを足元に付けるのはちょっと気が引けるので、揃えれるのであれば揃えたいところです。初心者用課題の踏みやすいスタンスホールドはボリュームに付けるなどして手でも使えたりしますので、是非考慮して選んでみてください。
 とはいえやってみないとわからないのが本音なので、10%の余白を作っています。9割買ってセットして追加で必要だなと思ったものを買うのが間違いないかと思います。壁形状やセッターの好み、何ならその日の気分で変わるので、余裕をもって選べるといいですね。

おススメガバ(ジャグ)

【課題1本セット】UNLEASHED Drifts jug

 厚みと形状が絶妙なジャグシリーズ。
 垂壁に付けても痛くない厚みでありながらルーフに付けても保持感の良い厚みで、どのような場面でも扱える使い勝手の良いジャグです。
 垂壁にアンダーで付けた場合、皺の踏み感が絶妙に悪く面白い課題になります。
 上記のホールドセットは下記のホールドセットから再構築したセットになりますので、スタートゴールに最適な両手ガバから間で使用するワンハンドガバまで入っていてこのセットで課題が完結するようになっています。
 同じサイズのホールドが沢山ほしい場合はそれぞれをご購入下さい。
DRIFTS SMALL JUG(2個)
DRIFTS MEDIUM JUG 1(2個)
DRIFTS MEDIUM JUG 2(2個)
DRIFTS LARGE JUG(2個)
DRIFTS XL JUGS(1個)
DRIFTS XXL JUGS(1個)
DRIFTS XXXL JUGS(1個)

GATO MOUSTACHE

 鉄棒のように手が回せるタイプのジャグ。
 膨らんだ部分がスローパーっぽくなり意外と保持感が悪いので、自然とくびれた部分を持つことになります。
 ビギナーさんでにルーフや強傾斜を楽しんでもらう課題を作るにはこういったタイプのジャグが必要になりますが、ルーフが無ければ買う必要ないかな・・・とも思うシェイプです。

おすすめカチ(エッジ)

UNLEASHED Smooth Line MED STRAIGHT EDGE USL15

 滑らかで指に優しいシェイプのカチホールドです。
 所謂カチる持ち方でもオープンハンドでも持てるホールドで、垂壁であればビギナー向け課題にも対応できるホールドです。
 カチといえばワンハンドですが、これはカチとしては大型でマッチできるサイズ。
 ビス留め対応なので、ボテや形状に合わせて使用できるのも使い勝手が良くておすすめです。

UNLEASHED Loaves MEDIUM UL 20

 UNLEASHEDの看板商品で、各種大会(ジャパンカップ等)などにも使用されているシェイプです。こちらのホールドは10個セットですが、保持感が様々で、エッジを基本としてジャグと言ってもいい物からスローパーっぽいものまで様々です。
 同じ保持感のホールドセットの場合は統一感のあるルートセットが出来ますが、スタートやゴールなどジャグが必要な場所で別のホールドを使う必要があります。このように場合保持感が様々なホールドセットの場合、スタートからフットホールドまで揃っているので1セットで完結することも可能です。

おすすめスローパー

UNLEASHED Eclipse SET D UBE 15

 シンプルなスローパーセット。
 これはDセットで、最も小さいAからEまでサイズも様々揃っています。AやBはほぼカチなので、スローパーという意味ではC以降になると思います。
 こちらも課題一本セットがあってカチ・スローパーで課題が1本作れるセットになっていますので、そちらもお勧めです。

おすすめピンチ

GATO HH BANANA 3

 こちらの商品は小ぶりなピンチで、まぶしなどでも活躍するシェイプです。1周り大きいBANANA2もあり、そちらもお勧めです。このホールドメインでラインセットするというよりか、他のホールドとホールドの間のつなぎであったりスタンスであったり、わき役として活躍するタイプですね。メインで使うのであればやっぱりBANANA2のサイズが必要かなと思います。

おすすめフットホールド

UNLEASHED Smooth Line MEDIUM JIBS USL04

  ガバそうでガバじゃないちょっとガバなフットホールド。本当に程よい。垂壁やスラブであれば初心者でもそこそこ安心して踏めるホールドであり、強傾斜につけるとちゃんと悪くなります。
 あとボテやカンテにつけたときの保持感がめちゃくちゃよくて、ハンドホールドとしても使えます。ピンチで紹介したBANANAもそうですが、色々な使え方がするホールドは新規ジムにとって価値が高いと思います。

おすすめジブス

UNLEASHED Eclipse XS FEET 2 UBE 78

 極小サイズ6個セットで、それぞれシェイプが違います。垂壁ならカチとして使用できますし、裏返せば悪いフットホールドです。使い勝手が良くて重宝するセットとなっています。
 このセットの何が良いかといえば、6個セットということです。小さなジブスは10個以上のセットで売られることが多いのですが、これは6個セットなので新規ジムでも全色揃える事が可能です。セットするにあたって全色ジブスが揃っていると本当に助かるので、このシェイプに限らず揃えてほしいですし、どうせ揃えるなら使い勝手のいいこのシェイプがおすすめです。
 ちょっとバリエーション出したいなという場合は、
UNLEASHED Eclipse XS FEET 1 UBE 77
UNLEASHED Loaves THIN JIBS S UL 05
なども5~6個入りと揃えやすいです。

④宣伝

 さんざん宣伝しておいてまだ宣伝かと書いていても思わないこともないですが、宣伝させていただきます。

ホールド見繕いサービス

 新規ジムのホールド選ぶの、大変だとおもいます。
 ということで、ホールド見繕いサービス承ります。
 ジムのサイズ・壁形状・セットの方針などヒアリングさせていただいて、最適なホールドをご提案させていただきます。
 もちろん相談は無料でございます。
 このブログを読んで「あ、この人に選んでもらった方が早いし楽だし間違いないのでは?」と思ていただけたら、是非ご用命くださいませ。

新規開店ジム割

 弊社にはこんな割引もあります。

 新装開店で何かと大変な時こそ、お安くホールドを揃えませんか?
是非ご相談くださいませ。

⑤あとがき

 思いがけず超大作になってしまいましたが、書けば書くほどホールドについて書きたいことが出てきてしまう状況ですので、後日ガバについてだけ書くNOTEなんか書けたらいいなと思っております。
 というわけで今後ともよろしくお願いいたします。

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