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静謐の温もり

秋分を過ぎた頃から、女性の月のサイクルが滞り始めました。
これまでもストレスや冷え、磁場の影響でリズムが狂うことがあったので、しばらく様子を見よう……と判断。
「女性のための冬じたく」と名づけたハーブブレンドで改善の兆しが見えていたのですが、気になったのでセルフチェックをしてみたのです。必要ならば病院に行かないといけないなぁ……と思って。
そうしたら、意外な結果が導き出されました。

「樹木に逢いに行ってください」

樹木?……って、どこの樹木?
私は、自分で思い当たる樹木を片っ端からチェックしました。
家の前にそびえたつケヤキ?
いつも自転車で走り抜ける、ツインのケヤキ?それとも神社のご神木?
近くのイチョウ並木?

思い付く限りの樹木を候補に挙げましたが、そのどれもが「違う」という答え。
……ということは、これからその樹木に出逢うということなのかな。
ちょうど数日後に、都内に出かける予定を入れていたことを思い出して確認すると、「その日に出逢える」ということがわかりました。

そして迎えた当日。
まるで運命の人に逢いに行くかのような気分で少し早めに家を出て、都内のとある場所へと向かいます。
初めて行く場所なので、地図を頼りに最寄り駅から坂を上っていくのですが、樹木はおろか草花が生える地面すら見当たりません。
こんな場所で、本当に樹木と出逢うことができるの?
疑問を覚えながら目的地に到着したところで、圧倒的な存在感に立ちすくんでしまいました。
樹木が突然、目の前に現れたのです。
それは、聖母病院のシンボルツリー・シベリア杉でした。

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シベリア杉に近づくにつれて、とても温かなエネルギーを感じました。
その日の気温は低く、木陰ではよりいっそう寒く感じるはずが、樹木を目の前にして立つと温もりを覚えるのです。
(この樹木に呼ばれていたんだ)と思わずにはいられませんでした。

残念ながら、植え込みの関係で樹木に触れることはできず。
シベリア杉に背を向けてコンクリート垣に腰を下ろし、待ち合わせている友人が到着するまで、樹木のエネルギーに包まれた状態で20分くらい過ごしました。

「樹木からメッセージを受け取る」というイメージがあったのですが、何も言葉が下りてくるようなことはなくて。
ただただ、ヒマラヤ杉が発する温かなエネルギーを受け取り続けました。
例えるならば……樹木のコンセントにプラグを差し込んでエネルギーを充電しているような感じでしょうか。
確実に(満たされていく)という実感があったのですよね。

驚くことにその日以来、滞っていた血のめぐりが格段に良くなったのです。
シベリア杉のヒーリング、私には効果てきめんでした。

聖母病院を訪れた本当の目的は別にあって。
敷地内の大聖堂で行われる、クリスマスのアカペラライブを聴きにきたのです。

「とても立派な大聖堂なので、マイクは使わず大聖堂の響きだけで歌おうと思います!」というご案内をいただいた瞬間に、静謐な空間に漂う響きや余韻が想像できてしまって、すぐに「行きます!」と即答するほど楽しみだったライブ。
クリスマスにちなんだ曲が次々と披露され、アカペラならではの微細なハーモニーに大聖堂が包まれて、全身の細胞が打ち震えるかのような歓喜の感覚を覚えました。
それも、個人的にはシベリア杉のヒーリングを終えた直後ですもの、温かな心の中にロウソクの光が灯ったかのようにも感じられたのです。

また、会場となった大聖堂の前には、「ルルドの庭」と呼ばれる空間がありました。
小さな池の奥に、聖母マリアの像がひっそりと佇んでいるのです。
ちょうど私が訪れたときには、傾き始めた太陽の光がスポットライトのように、マリア様を照らし続けていました。

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それだけではありません。
大聖堂の裏手に回り、階段を昇っていった先には「フランシスコの庭」があったのです。

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病棟の窓から一望できるであろうフランシスコの庭は、西日が降り注ぐ光に満ちた空間になっていました。
ここに来てこんな形でフランチェスコと対面するとは予想していなかったのでビックリ。
そして、かつて見て感銘を受けた映画「ブラザー・サン シスター・ムーン」を思い出しました。

大聖堂に漂う雰囲気、ルルドのマリア、アッシジのフランチェスコ。
クリスチャンではないけれど、私が惹かれ・大切にしたいと思っている最も清らかで美しいものの本質が、これらの中に凝縮されていると感じたのです。
「私たち、前世では修道院で暮らしていたよね」
一緒にいた友人と、そんなふうに語り合いました。

アカペラライブを終えた後に向かったのは、この日のために予約していた完全予約制のレストラン。
アンティークの椅子やテーブルが配置されたシンプルな室内は、先ほどまで味わっていた空気感の延長のようでした。
作り手の優しさと、食材に向き合う丁寧な姿勢が込められた料理は、とがらずいばらず、人を驚かすこともなく、心にも身体にも染み入るホッとする味(槇村さとる作『おいしい関係』の百恵ちゃんの作る料理が現実になったかのよう)。
次々と出てくるコースメニューを、お酒と一緒に味わいました。

そして、一日の出来事を振り返ってみて、私が願い求めている生き方の原点は、ここにある……ということを改めて認識したのです。
静かで穏やかで、清らかで美しくて、そしてしなやかな強さを秘めている。
とがらずいばらず人を驚かすこともなく、淡々とそのような生き方であり続けることを、私は望んでいるのだ……と痛切に思いました。

私にとって、最も大切にしたいもの。表現していきたい世界。
そのことを再確認できた、清らかな一日でした。

いただいたサポートは、人々や地球の癒しと成長に貢献する人やモノ・グループへと循環させてゆきます。ひとしずくの水が大海へと繋がっていくように、豊かさのエネルギーをここから世界のすみずみにめぐりめぐらせていくためのファースト・ステップに選んでくださるのだとしたら、大変光栄です💫