タダシ「CO-WORKING TITLE」Vol.1インタビュー【前編】

10月5日に「CO-WORKING TITLE」Vol.1を開催したタダシ。PLAN C設立第一弾となる今回のライブは、新作7本のコントで会場を沸かせた。
新たなスタートを切ったタダシにインタビューを実施。披露した全コントを振り返ってもらい、来月開催のVol.2への意気込みなどを聞いた。
(取材・編集 / PLAN C制作部)

「いいコンビですね」って

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──まずはライブの手応えはどうでしたか?

楽しかったですし、いいライブになったと思います。今までのライブとは違うコンセプトだったし、会場もはじめての場所で勝手がわからないこともあって開演前は結構テンパりましたけど、お客さんのおかげで温かい雰囲気のまま終えられましたね。

──まずオープニングからフリートークという今までにない構成が新鮮でした。

とにかくリラックスして楽しんでもらいたかったんで、もうはじめから普通に喋ってできるだけゆるい感じにしたかったんです。喋って、コントやって、また喋って、またコント。喋りっぱなしの90分にしようって。

──MC中も和やかな雰囲気になってましたね。「ここは集中して見ないでください」とも言ってました。

僕の中では休み時間なんで、そんな一挙手一投足をガッツリ見られても困りますから(笑)。あと今回はワンドリンクがついてたんで、お客さんに飲むゆとりも作ってあげたくて。ネタ中はグラスを手に取るのも気を遣う人がいるでしょうし。

──プラセボの客席も、お客さんが全員ソファに一列で並ぶという珍しい形式でした。

全員最前列(笑)。顔もうっすら見えるんですけど、あまり見ないで壁に掛けてあるプラセボのフラッグばっかり見てました。でも、一番気になったのはスタッフですね。入口付近に無理に椅子置いて見てもらってたんですけど、昼の回がすごい近いところにいたから「近っ!」ってずっと思ってました。

──むしろ安心できたのでは?

できないですよ。すげー近いんだもん! いつも照明やってくれてるスタッフなんですけど、ガン見してたから、終わってから「アレ、何とかなんない?」ってお願いして、夜の回はちょっとだけ離れてた(笑)。

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──前半ひとりコントで、後半コラボコントという構成もやってみていかがでした?

いいバランスだったと思います。ひとりで30分くらいやって、そこからゲストが出てきてだいたい50分。お客さんもちょうどよかったんじゃないかな。ハシケン出てきてからは安心しましたよ。やっぱりひとりは心細いですから。

──橋本さんとのコンビ感も出ていてよかったです。

お客さんからも言われました。「いいコンビですね」って。

──お揃いのTシャツも着て(笑)。

せっかく作ったPLAN CのTシャツがそうさせちゃいましたね。いい衣装だと思ったんですけど、実際二人で着てみたら嫌いなお笑いみたいになってしまった(笑)。

「コントって形ならできんじゃないすか?」

01.「我が人生最悪の時」
ある男(深津祐介)が部屋で電話をしている。相手は君塚祥子(キミちゃん)。男は突如として、「自宅が空き巣に入られた」という驚愕の告白を祥子にする。通報もせず、会話に熱中する男の末路とは……。

あの会場の雰囲気でどんな風にコントをやるのかをわかってもらうための挨拶代りの一本ですね。「こういう感じです」っていう。それでいてあんまり大きげさじゃなく、ミニマムな話にしてみました。

──度量が小さい男の話ですよね。尚且つ空き巣に入られたのに落ち着いてるという変な男でもあるっていう。

そこがポイントなんです。外的葛藤の「空き巣」がもう済んだあとの話で、それからの内的葛藤、通報するのかしないのかっていう踏み切りをどう処理するかが見どころで。映画でいうところのソフトストーリーみたいな、地味なコントにしようと思って。

──ニヤニヤ系でありつつ、最後にアクロバットな展開もありで。

さすがにクライマックスがないのは寂しくて。でもまあ若干強引だったせいか、客席も「げっ」みたいな雰囲気でしたね(笑)。

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02.「遥かな時代の階段を」
「平成」によるトーク。改元を終え半年が経った今、平成には一つだけ心残りがあった。

──「切り口が斬新だった」という声がありましたね。時代と言う概念を演じるのが面白かったです。

「そろそろソロコント」の時に日本の硬貨が総選挙をやるっていうネタ(「COIN ELECTION」)があったので、僕としてはそういう系のネタです。あの時は一円から五百円まで六役やったんで、それに比べたら一役は楽でした。

──昭和や大正が先輩として登場し、令和がゼロ歳児という設定も世界観の奥行きを感じられました。

(うなだれて)それにはちょっと作劇上のミスが昼の本番後に発覚しちゃって……。

──終盤で平成に文句をつける「万治」という元号のことですね?

そうです。万治って江戸時代の四年間しか続かなかったんですよ。ネタの設定としては四歳にしなきゃおかしいのに、普通の大人でやっちゃって。アンケートでそこ指摘されて、ショックでした。「どうして気付かなかったんだー?」って。

──でも夜の部で何とか修正はしました。

子供口調にね。でもやっぱ苦しい(笑)。コント作家としてもっと頑張ります!

03.ひとりジャイブ~音編~
即興コントコーナー。観客から予め募集したお題「誰が」「どこで」「何を」と、シークレットで用意した3つの効果音でコントを作る。

──「そろそろソロコント」でも披露したアドリブコントです。タイトルを一新して、久々に。

大変ですけど、やっぱりめっちゃ楽しかったですね。

──アレを楽しめるのはすごいです。

何と言うか、根拠のない自信だけはあって。インプロを普段やっているわけではないし、機転がきく方でもないんですけど、なぜか「コントって形ならできんじゃないすか?」って思ってて。

──でも、稽古ではあんまりうまくいってなかったとか?

そうそう。25点とか55点の出来になってました。でも本番は緊張感マシマシなんで、70点ぐらいは出せたんじゃないかと思ってます。別に90点とか出す必要はなくて、ライブ感とかハラハラ感の方が大事なので。

──お客さんも一緒に盛り上がりました。

みなさんにお題を募ってるんで、自分のが選ばれるかも知れないドキドキもあるし、ちょっとした共犯関係になるところがミソなのかなと。

──昼の部が「陽気な人」が「トイレ」で「習字をする」。インドネシア語の効果音も印象的でした。

味園ビルもちゃっかり利用して(笑)。でも陽気な人が途中からただの江戸っ子になってたせいか、オチもなんか落語っぽかったですね。

──夜の部が「ママ」が「病院の待合室」で「キレッキレのダンスをする」。こちらは前の二つのコントを絡めた展開が見事でした。

でも、アレは禁じ手ですよねー……。

──どうしてですか?

頂いたお題でゼロから作っていくのが魅力なのに、伏線回収みたいに前のコントをバンバン使うのはズルいかなって。アプローチとしては面白いんですけど、即興の引き出しの少なさは感じました。もっとやり方を鍛えないとダメですね。

──Vol.2では違う演出のアドリブコントを披露する予定です。今回の反省を活かせるといいですね。

まだまだやります。何とかシリーズにしたいので、温かい目で見てください(笑)。

<後編に続く>