タダシ「CO-WORKING TITLE」Vol.1インタビュー【後編】
10月5日に「CO-WORKING TITLE」Vol.1を開催したタダシ。PLAN C設立第一弾となる今回のライブは、新作7本のコントで会場を沸かせた。
新たなスタートを切ったタダシにインタビューを実施。披露した全コントを振り返ってもらい、来月開催のVol.2への意気込みなどを聞いた。
(取材・編集 / PLAN C制作部)
前編はこちら
https://note.mu/plan_c/n/n9178d288b806
本職ナレーターですよ?
04.「あの時、君は輝いていた」
ゲストの「人生の中で輝いていた瞬間」をシチュエーション再現し、ランキング方式で発表するコーナー。
──休憩タイムを終えて、橋本さんを招いてのコラボコントパートに入ります。バラエティ番組風のネタで、ライブの雰囲気がまたガラッと変わりました。
あーうーでクイズ番組風のネタは作りましたけど、あれは木村君を暴れさせるための特殊なやつで、アドリブも多くて大変でした。これはトーク部分も決め打ちして、ガッツリのコントです。
──平たく言うと、あるある系と言うか。
そうですね。一発目のボケの「逃走中の強盗の行く先をお巡りさんに指差す」で趣旨をちゃんと理解してもらえたと思います。とにかくハシケンの輝く瞬間のポーズでウケなかったら一巻の終わりなんで。
──第二位の「後輩に知られずに食事の会計を済ます」瞬間も痛快でした。
現実でアレやろうと思ってもできないでしょ? 憧れの瞬間ですよ。だからコントで叶えちゃおうと。
──橋本さんのポーズ、背中で魅せるのがすごかったです。
あの人、ああいうの似合うんです。正面でも後ろ向いてても、ドヤができるんです。
──そこからどんどん橋本さんがおかしくなっていきましたが?
ゲストのディメンションが変わっていったら面白いかなと思ったんですけど、第一位の「強敵を前に勇者を先に行かせる仲間」はちょっとハイブローすぎて、変な空気になってしまった(笑)。完全に客席が「アレ?」って。やっぱり二位の瞬間がね、決まりすぎたということで。
05.星から来た男
朗読コント。巨大ヒーロー「ザ・コスモ」と宇宙怪獣との戦い。地球を守ろうとするコスモの前に現れるのは、大きさがバラバラの怪獣ばかりだった。
──MCでも説明されてましたが、「そろそろソロコント」のボツネタをリライトしたコントだったんですよね。当時伝わらないと思ったのはなぜですか?
話が大きいじゃないですか。巨大な虚構がひとりコントだと伝わる気がしなくて。あと変身したヒーローのビジュアルもどうするのか答えが出なかったんです。二年寝かせて、朗読スタイルにして何とかまとまったかなと。
──お二人ともさすがナレーター。世界観が伝わりました。
でも、今回のコントの中で一番疲れるんです。
──橋本さんもMCで「朗読はとっても疲れる」と話してましたね。
声で全部を表現しなきゃいけないし、何より巨大ヒーローの話ですからね。ケレン味を出すには大声とパワー出さなきゃいけない。芝居とは違う集中力も使いますし、しんどかった~。
──ちなみに昼の回と夜の回でキャストを入れ替えました。主人公の「ハヤシダ・ジン」を昼が橋本さん、夜はタダシさんがやられてます。
僕のコントライブって、いつも回ごとに違うところが必ずあるんです。今回は稽古の終盤あたりでハシケンに「入れ替えようか?」って提案して実行しました。お芝居だと難しいですけど、朗読はまだこういう無茶もきくかなって。でもお互い役が固まりきった時期に言いだしたもんですから、いざ入れ替わったらお互いの読みをなぞっちゃってなぞっちゃって……。
──どちらの回も、それぞれの個性がちゃんと出ていたと思いますよ。
でも、僕のジンはショボい!(笑) 元々はハシケンがジンをやっていて、いざ僕がやってみたらすっごいヘッポコでヘコみました。ハシケンは似合うんです、ああいう熱血系が。僕は、やっぱりどっかカッコ悪いんですよねえ……。
06.橋本カンタビレ
橋本の弾き語りを用いたショートネタ集。
これはもう楽チン(笑)。
──タダシさんは橋本さんのボケに突っ込むだけですからね。
台本もペラ一枚で稽古も全然やってないんですよ。ハシケンのギターが上手いのは元々だし、その時点で勝算ありでした。実際ウケましたねえ。
──三段オチを決めて、最後は真剣に一曲披露という構成で、すごい弾き語りでした。流れたオケもとても豪華で。
この提案をした時はシンプルな弾き語りにするものだと思ってたんですよ。そしたら「オケ録りたいんです」って言い出して。それで音源作ったらめちゃめちゃ凝ってて。ギター重ねて、コーラスもバンバン入れて。「こいつ、どこへ向かおうとしてるんだ?」って心配しましたよ。本職ナレーターですよ?
──でも橋本さんも満足げで、お客さんも楽しんでくれました。
幸せな時間でしたね。「もっと聞きたい」って声もあったぐらいで。ただ、本番で僕はどういう顔して聞いていいのか最後までわからなかったです(笑)。
07.アナクロ
とある美大教授は雇ったばかりの若い助手の言動の数々に悩まされている。そんな中、教授は個展を開催することになるのだが、助手が勝手に絵を全部捨ててしまい、「データ化してVRで見る」という大胆なアイデアを実行していたのだった。
音楽で盛り上がったあとなんで、最後はお口直し、デザート感覚で見てもらおうという感じでした。あと、全然コントらしいコントをやってなかったので。
──確かに、ストレートなお芝居でした。
尺は短いんですけどね。もっと教授と助手の関係性を掘り下げて話をクドくすることもできたんですけど、そうじゃなくてハシケンをただ追い込んでさっぱり終わろうと。あと、このネタは「絵画をデータ化してVRで見る」っていうネタの核が伝わればよかったんで。
──橋本さんはああいう老け役、似合いますね
もちろんアテ書きしてますから。実年齢より上の役は去年の「よってたかって気後れ3」でもやってはいたんですが、今回はそれよりも上。でも、わりとすんなり呑み込んで稽古してたので、しっかり面白くできたんじゃないですかね。
──教授の悲哀とおかしみがよく出ていました。どういった演出をされたんですか?
「教授をただの可哀そうな人にするな」とは言いました。難しいバランスですけど、自分の世界観がしっかりある子なんで役に反映させたらうまくいくと思ったんです。だから「役で遊べ」って言って、どんどん好きに色々やらせてキャラクターを固めていきました。
──ちなみに些細な部分ですが、「データ化」というワードのやりとりが面白かったです。言い方の面白さが文章で伝わらないのが残念ですが(笑)。
あれは稽古で自然発生的に生まれたもので、「こうしよう」って一言も話してないんです。ああいうのがしれっと生まれて、本番になっても打ち合わせないままやって、もうこれでコンビとして完成したと思います。思い残すことなく解散できますね(笑)。
フライヤーが死なないのはいいな
──休む間もなく、Vol.2の稽古に入りますが、どうですか?
いつもなら単独ライブは一本だけなんで終わるとやれやれって感じなんですけど、今回はすぐ次に行かなきゃいけないのはすごく新鮮です。共演相手も変わりますし、楽しみです。
──肝月さんとはどんな感じになりそうですか?
面白くなりそうです。彼女は彼女で10月は別の本番があったんです。「火曜日のゲキジョウ」っていう、劇団同士が対バンみたいなことをやるイベントにユニットで出て。観に行ったらすごく面白くて、「こんな面白い人と一緒にやれるのか! やったー!」って思いましたね。
──どんなケミストリーが起こるのか楽しみです。
あと、こっちはこっちでちょっと隠し玉があるんでね。
──と言うと?
それは見てのお楽しみで! あと、Vol.1やってみて思ったのが、「フライヤーが死なないのはいいな」って。普通、公演のフライヤーって本番が終われば本来の役目を終えるわけじゃないですか。でも、今回の「CO-WORKING TITLE」は一本終わってもまだもう一本控えてて、フライヤーが生き続けるのはいいことだなって。
──マクフライさんのデザインは毎回好評ですしね。
今回はPLAN CのロゴTシャツもあるし、ほんと大活躍ですね。アレ、つっきー着てくれるかなあ……。
──大丈夫ですよ(笑)。肝月さんとのコンビ感も楽しみにしてます。
頑張ります!
──今日はありがとうございました。
ありがとうございました。
スピンオフコントライブ「CO-WORKING TITLE」Vol.2
https://note.mu/plan_c/n/n5a12a61f422f