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愛おぼえていますか - 『プラネテス』

青くひかる地球を横目に、どこまでも広がる真っ黒な宇宙が彼らの職場。

重力がなくなって、生活も食べ物も見える景色も変わって、さらには体の中身さえ変わってしまった。

光も音もない世界では普通のままじゃ壊れてしまう。生きるため、目標のため心も変えた。

そうやってなにもかも変えた、変わってしまった気がするのに、どうしてもやめられないことがある。どうしてもやめられない、強い力を人は持ってる。

『プラネテス』という漫画を読んだ。

廃棄された衛星などから発生するデブリ(宇宙のゴミ)を処理する仕事をする主人公・ハチマキのお話。

アニメを見てから漫画に入ったので、アニメとは違うずっしりとした絵と展開に驚きながらも、どんどん引き込まれて全4巻とは思えない濃厚な読書体験となった。人生を一回分生きた感じがする。

ハチマキは大きな目標を持っている。目指す場所ははるか遠く、ここからだと米粒よりも小さな宇宙の彼方。

その目標のためにどうすればいいのか葛藤し、これしかないという答えを見つけた。しかし、しばらくすると歪みが出てきてまた葛藤するハメになる。

そうやって堂々巡りをしながらも、少しずつ進んでいく。そして辿りついた一つの答え。そこで物語は終わる。

多分その答えも変わるんだろう。次はどんな答えを見つけるのか、続きが読みたい。

初めて読んだのは10年くらい前だったか。読むたびに違う発見がある。学生の頃はストーリーやセリフのかっこよさに気が向いていたが、今は登場人物それぞれの所作一つひとつが気になる。

同作者の『ヴィンランド・サガ』(連載中)も大好きで、時代や場所は全然違うけど主人公の葛藤は通底するものを感じる。

ハチマキ以外の登場人物の描写も多く、それぞれが悩みと葛藤しながら生きている。けどそれらもやっぱり通底するものがある。この宇宙に関係ないものなんて一つもないんだ。

次読んだらどんな発見があるのか。
今から楽しみ。

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