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『リズと青い鳥』で心が洗われた

映画『リズと青い鳥』を観た。

アニメ版に散々泣かされた身としては一刻も早く観たくてしょうがなかったのに、いつのまにか公開3週目。アニヲタ上司に「まだ観てねーのかよ」と野次を飛ばされる日々が続いていたが、ようやく観た。
ついに野次は止まる。が明日からは「最高だったろ!あれはな〜」と上司の語りを聞かされる日々が続くのでは、と今からうなだれている。ただ、最高だったのは全面同意である。

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舞台は北宇治高等学校の吹奏楽部、アニメ版では焦点が当てられなかったオーボエ担当の鎧塚みぞれとフルート担当の傘木希美の物語。

引っ込み思案なみぞれと誰からも好かれる希美。二人は仲がいい、けれどどこか違和感がある。たしかに好き合っているんだけど、どうやら好きの種類が違う。噛み合うことのない、大きさの違う歯車のような二人が、無理に噛み合おうとしてズレが生まれ……。みたいなお話。

絵や音楽、ストーリーどれもが素晴らしくて、京アニだし山田尚子監督なのでそこらへんは言わずもがな。見せ場とされる終盤の演奏シーンや大好きハグのくだりは大変素晴らしかった。が、しかし自分的にいちばん胸打たれたのは序盤にあった。

音楽室で部員と話している希美を、みぞれは誰もいない隣校舎の理科室から見つめる。少しして、みぞれに気付いて手を振る希美。驚いて、一瞬間をおいてから手を振り返すみぞれ。

このシーンのみぞれがとにかく嬉しそうで、自分の気持ちが通じた喜びと驚きで、いつも抑えている気持ちが止められずしっぽを振っているような彼女を見れてジーンとした。

序盤からずっと感情を抑えていた彼女が、ふいにこぼした「好き」が何かもう強烈で、胸のなか幸せいっぱいになってしまった。ハッとしたりすごいなあと思ったシーンは他にあるけど、いちばん幸せを感じたのは間違いなくこのシーン。

二人のぶつかり合いは、男の自分には想像もつかないほど尊くて、踏み入れちゃいけない聖域のようで今後も踏み入れることはないけど、見てると心が洗われるので半期に一回くらい観て精神衛生保つのがいいなと思った。

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