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一年ぶりのやよい軒

昨日、居候先の家主から「夜に彼女が来るんだよね」というお告げをいただき、別に強制されたわけではないが何だかとてもいたたまれないので外泊することにした。

そうはいっても緊急時に頼れるような友人もおらず、24時間営業の本屋で立ち読みでもしていようかと端から諦めモードだったのだが、ふと前職の先輩の「いつでも泊まりおいで」という完全に社交辞令と思われる言葉を思い出し、社交辞令だろうがなんだろうが言質はとってあるぜと強気に連絡してみた。さすが先輩、二言目には「いいよー」だった。ありがとうございます先輩。

その先輩の家は、10人見れば10人が独身貴族認定をするだろう素敵空間で、室内には葉っぱもたくさんまぶしてある。ナウシカの秘密の庭園を想像していただければピッタリである。瘴気のかけらもない。ただ、少々やりすぎなところもあり、さらに家以外のことにもヘンにこだわりが強く、一部の人から気持ち悪いと蔑まれている。蔑んではいないが、少なからず僕も気持ち悪いと思っている。そして本人も、気持ち悪いでしょ、と自虐気味に話す。

ただ人に気持ち悪がられるほどのこだわりを持ってる人って、周囲にあまりおらず、良くも悪くもなかなか忘れられない先輩である。そして自分をネタにして笑える人物である(心中どう思ってるか分からないが)。単なるナルシストは気持ち悪いが、手越祐也レベルとくれば天晴。自分のかっこよさや幸遇を誇る阿呆には喝、不遇を嘆き不幸に浸っている馬鹿にも喝。そういう人と同席したならば即刻退場願う。突然に嫌悪を撒き散らしているが、こちらの心の狭さが主原因なのは間違いない。この醜い自分の心を更生すれば万事解決なのだが、自分の好き嫌いくらい好きにしたい。

散々気持ち悪いと連呼してしまったが、こんな話も笑ってすませてしまう人徳のある御仁である。仕事もばりばりこなし、ホームパーティ開いちゃうような社交性もあり、顔面の作りも丁寧である。さらにホスピタリティにも優れ、先方ですごした数時間がここ数年間で最高のクオリティ・オブ・ライフ数値を叩き出したのは間違いない。やよい軒おいしかったなあ。

厚く御礼申し上げます。

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