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ヴィクトリア時代のインターネット

"電信こそは遠くの人々を結びつける万能な方法とされた最初のテクノロジーだったのだ。"1998年発刊の本書は19世紀、ヴィクトリア朝時代の電信とインターネットの技術、社会的影響の類似性をわかりやすく指摘した"ネット業界のカルト古典"。復刊した良書。

個人的にはタイトルと装丁に惹かれて手にとりました。

さて、そんな本書は英『エコノミスト』副編集、ジャーナリストである著者の作家デビュー作で、ヴィクトリア女王がイギリスを統治していた時代(1837年〜1901年)に登場した現在では"枯れた技術"扱いの電信が、馬や船、手旗信号で情報をやりとりしていた当時において与えた社会的影響の大きさ、普及段階における混乱(黒魔術扱いされたり。。)を、サミュエル・モールス他の発明家たちの開発競争を軸に描いているのですが。(エジソンも登場します)

やはり、本書出版前からネットを使い始めた"インターネット老人会"の1人としては、電信ネットワークが地球規模で接続した当時にも語られていたらしい【お互いが結びつくことで世界的な問題を解決できる】というユートピア的主張、その失敗にネット黎明期と重なる部分を否応なく思い出させます。

また、2000年代にSNS黎明期に再び語られていた【繋がっていたらわかりあえる】的なWEB2.0もまた罵詈雑言の炎上地獄になってしまった現在、はたして人類はそうした負のループを越えることが未来においては『可能なのか?』と考えたり。

ネット黎明期を知っている方や、技術の普及段階における障害や混乱に興味がある方にオススメ。

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