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猫と庄造と二人のおんな
"このゴロゴロと云う音を聞きながら、咽せるようなフンシの匂を嗅いでいると、何となく胸が一杯になって(略)"1937年発刊の本書は猫のリリーを中心に、2人の女と1人の男の三角関係を描いた風刺劇。猫好き必読の一冊。
個人的に著者作は割と読んできましたが、本作は未読だったのと猫好きという事で手にとりました。
さて、そんな本書は庄造の現在の妻である福子が、前妻の品子からの庄造が溺愛している『雌猫のリリーを譲って欲しい』という手紙を思い出す冒頭から始まり、カメラが切り替わるように自分以上に夫にリリーが大事にされている状況描写、そこから夫婦喧嘩の末に、庄造がついにリリーを品子の希望通りに譲ることに同意させられるまでがテンポよく描かれているのですが。
自分も含めて、猫好きだったら頷くであろう庄造のリリーを可愛がる様子。また、それでいて人間の言葉を解さないリリーのなんとも『悪女のような気まぐれさ』にニヤリとしてしまう。
また、最近の他作品によくあるアニメか漫画のキャラ設定を『演じているかのような登場人物達』に辟易している私にとって、本書はテンポよくも登場人物たちの様子が滑稽なれど流石の巧みさで描かれていて楽しかったです。
著者ファンの方はもちろん、猫好きな方にもオススメ。
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