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死にたい夜にかぎって

"顔に力を込めた瞬間、学生時代に女の子から言われた忘れられない言葉が頭の中を駆け巡った。『君の笑った顔、虫の裏側に似てるよね。カナブンとかの裏側みたい』"2018年発刊の本書は文学フリマ発、著者デビュー作にしてドラマ化もされた愛とユーモア溢れる実話小説。

個人的には、ドラマの方を先に見て。面白かったので手にとりました。

さて、そんな本書はWebサイト『日刊SPA!』での連載エッセイ『タクシー×ハンター』。その中でも特に人気の高かった「恋愛エピソード」を中心に大幅加筆修正のうえ再構築されたもので、憧れのクラスメイトの女の子に笑った顔を無惨に指摘されて、うまくわらえなくなった少年が、新宿で唾を売っていた彼女、出会い系サイトに生きる車椅子の女、カルト宗教を信仰する女。と様々な女性たちと出会って、成長し変わっていく姿が描かれているのですが。

割と重たい話があっても、元カノが指摘するように『どんなに辛いことがあっても"まぁいいか"で済ませる』著者のどこか【達観したかのような、そしてユーモア溢れる語り口が魅力的】で。ドラマを思い浮かべながら一気読みしてしまいました。(しかし、ラッパーしかいない編集部。気になる)

また、男女の間に友情が存在するか否か。みたいな割とよくどこかの居酒屋で語られそうな話がありますが。そして元カノ自身が【六年間、時間の無駄だったね。マジでw】と語ろうが、著者が別れてからも出版許可をもらいに再会するラストとか。二人の関係性が爽やか?なままなのが多幸感があって良かった。

著者ファンはもちろん、都会で暮らすカップルとか。かっての少年にオススメ。

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