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キッチンが呼んでる!

"そんな食べ物談義の最中、彼女は突然こんなことを言った。『ねえ、知ってる?普通の人はごはんを食べながらごはん以外の話ばっかりするのよ。びっくりじゃない?"2022年発刊の本書は"あらゆる食べ物には価値がある"『食べること』を追求する『わたし』の27日間。著者初、異色の料理小説。

個人的には知人に紹介されて手にとってみました。

さて、そんな本書は南インド料理店『エリックサウス』の総料理長、飲食店プロデューサーの著者が、文芸ポータルサイト『小説丸』で連載していた内容に加筆、修正を加えたもので。訳あって一人暮らしを始めた女性が、調味料や食材を揃えていく【自炊と一人ごはんを楽しむ様子の27日間】が、食材や料理に対する愛情溢れる描写に食欲を刺激されつつ、母親や友人、元上司や元カレとのエピソードを交えながら連作的に描かれていくのですが。

著者の方は存じませんでしたが。一応の飲食経験もあって、割と自炊に対する抵抗?もなく、また気分転換に外食に出かけることも多い私にとって、自身の日常と重ねて読めて楽しかった。

中でも第19話『18日目の湯豆腐』そして第25話『23日目の二郎系』にでてくる"ジロリアン"の編集者の『行列に並んでる奴ら、なんだかみなぎってるんだよ。ワクワク感や意気込みがひしひしと伝わってくる(略)』あたりのやりとりは、私も昔はラーメン店通いをしていたのでニヤニヤしてしまった。

日常的な自炊や外食を大切にする誰か。気軽に読める連作小説を探す方にもオススメ。

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