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丘の屋敷

"自分がいた部屋の窓を眺め、自分を静かに見守る屋敷の、どこか面白そうな"表情"を見つめ返した。そして、やはり待っているんだ、と思った。"1959年発刊の本書は幽霊屋敷テーマの怪奇小説古典。キングの『シャイニング』にも影響を与えた傑作。

個人的には著者の『ずっとお城で暮らしてる』がとても面白かったので、本書も手にとりました。

さて、そんな本書は80年前に資産家ヒュー・クレインによって建てられたという<丘の屋敷>。クレインの妻の死を始めとして、不幸が続いた屋敷に心霊学の研究者であるモンタギュー博士が屋敷調査のために超常現象の体験者。幼いころにポルターガイストの経験をしていた女性エレーナ、透視能力を持つセオドラ、屋敷の持ち主のルークといった協力者を呼び集めるのですが。

まあ『いかにもな設定』にも関わらず?物語的にはわかりやすい悪役や化け物が出てきたり、次々と死人が出ることもなく【スローテンポで進む】のですが。流石は少女の狂気を描いた『ずっとお城で暮らしてる』著者【じわじわとくる怖さ】に驚かされました。

また、本書では主にエレーナを語り手に屋敷の様子が語られているのですが。彼女が表面上は怖がりながらも、屋敷に対して【次第に妙な安心感を覚えて】精神的に常軌を逸していく様子は、本人の語り方自体は自然なままで、周囲の人たちの接し方だけが変化していく様子も含めて上手いな!と思いました。(これは確かにシャイニングぽいですね。。)

館テーマの怪奇小説の古典的傑作として、また心理ホラーが好きな方にもオススメ。

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