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伝説の『サロン』はいかにして生まれたのか

"急速なデジタル技術の開発や普及が、さらに市民生活の変化を余儀なくしていくことはもはや自明である。しかし、そのような変化の中でも、人々が依然として交流や安息の場を探していることには、さほどの変化はないように思う"2020年発刊。本書は戦後から語られる文化装置、場づくり論。

個人的にはコロナ禍からずっと、リアルで人が集まる場所の存在意義について考えている事から手にとりました。

さて、そんな本書は文化地理学を専門とする研究者が、特定の場所に集うクリエイターの物語【人間の感受性に影響を与える場所"文化装置"の形成過程について】戦後のトキワ荘や大泉荘、コミックマーケットやヤマハ『ポプコン』、芸大に『PFF』、新宿喫茶文化、そして現在のコワーキングスペースやオンラインサロン。と既に【懐かしいものから今に続くものまで】広くインタビューや資料をもとにしながら紹介、クリエイティブ・コミュニティについて論じているのですが。

進行形で、大阪駅近くで"フリーペーパー専門店はっち"と名乗る文化拠点を運営する立場として、いつかは同じように伝説へ!。。とまではいかなくても(それでも)自らの活動が【誰かの文化装置になれているのだろうか?】と多少なりとも振り返って考える。本書は良いきっかけとなりました。

また研究者だからでしょうか。本書は東京の事例を中心に『戦後から現在まで』とにかく多く『お店からイベントまで』広くカバーしていますが。戦後、昭和にページを割いている分だけ、後半はやや駆け足な紹介になっているようなバランスの悪さを感じました。

文化的な場づくりを目指している、研究している全ての方にオススメ。

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