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スピンクの壺

"いまのところ受信できるのは主人だけです。これは私のいまのところの考えですが、ポチのように前世が犬であった人間のみが犬の念波を受信できるのではないでしょうか。"2015年発刊の本書は、プードルのスピンクが綴る主人ポチと家族たちの季節の移ろい、幸福な時間。シリーズ第三弾。

個人的には、別の著者の本を紹介した際に本書をすすめられたので手にとってみました。

さて、そんな本書は生後四ヵ月で保護されたプードル犬にして【変に落ち着いた】スピンクの目線で、作家・主人にして"犬っぽいところが残っている"ポチ、その妻にしてクールな美微、そしてどこか達観し世慣れた飼い犬仲間達のシードやキューティーたちと過ごす【他愛もない日々】花見や梅雨話といった季節、庭づくりや洗濯機を買うといった日常話が描かれているのですが。

年を重ねたから、またコロナ禍の今だから余計にでしょうか。特別だったり、派手なことは【全く起きませんが】決して退屈ではなく。むしろ【日常の大切さ】がとても魅力的に伝わってきて、相変わらずのユーモラスな文体と共に楽しませていただきました。

また、残念ながらスピンクは本書発刊後から2年後、2017年に亡くなってしまったらしいのですが。その別れは動物の飼い主としては【当然に覚悟しないといけない】とはいえ。こうした形で、"記憶として残しておく"って素敵な事だな。と、しんみりと感じました。

犬好き、プードル好きはもちろん、日常の大切さを確認したい人にもオススメ。

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