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めくるめく現代アート

"現代アートのめくるめく世界を、イラストや漫画を使ってもっと身近に、もっと楽しく伝えることはできないだろうか?そんな思いから、この本の執筆は始まりました。"2016年発刊の本書は1950年代以降の現代アーティスト、様々な動向を著者自らのイラストで多面的、図解で紹介している良書。

個人的にはメタバースで美術史を紹介している事もあり、参考に手にとりました。

さて、そんな本書は現代美術史、装飾史を研究する他、イラストやデザインでも活動する著者が【高度な知的ゲームであり、五感を楽しませてくれるエンターテインメント】現代アートの魅力をもっと身近に、楽しく伝えることはできないだろうか?と、あえて写真ではなく、全て『自身の理解に基づくイラスト』で、前半は『アーティスト編』として、デュシャンから始まりティノ・セーガルまで40人を見開き1ページずつで紹介。後半はコラムを挟みながら、抽象表現主義から拡張現実といった『現代アートを知る上で必須の38のキーワード』を解説してくれているわけですが。

まあ、とかく難解に解説しようとするといくらでも出来る『現代アート』ですが。本書はイラストの特性を活かした【コンパクトな情報力、すぐにでも語りたくなる雑ネタ】と、個人的には復習も兼ねて、新鮮な気持ちで楽しませていただきました。

また、どうしても『〜美術』『〜主義(イズム)』と一括りに解説しやすく、また資料も豊富にある『60年代以前』と違って、以降から現在は【多彩な表現が同時に林立】また、多くが存命のアーティストたちの『評価も定まっていない』ので、美術史を紹介する立場からすると【やりづらく、また駆け足になったりする】のですが。本書ではそのあたりをむしろ重点的に紹介してくれているのも意欲的に感じました。

現代アートを感覚ではなく、理論的に理解したい方の入門書としてオススメ。

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