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東京藝大で教わるはじめての美学

"美の哲学というのは(中略)現在では、芸術はもはや美しさを求めていないということがほぼ常識になっているので、芸術とは切り離して、自然美なども含めて、美しさそのものを哲学的に探究することを目標にしています"2024年発刊の本書は20世紀フランスの絵画論『美学』を解説した良書。

個人的に、メタバース芸大RESTの授業用テキストとして本書を手にとりました。

さて、そんな本書は二十世紀の芸術に関する哲学的思想の研究者にして、東京藝術大学で"美や芸術について論じる哲学"美学史を担当している著者が初学者向けに書いた入門書で。序章において美学について説明した上で、アラン、サルトル、メルロ=ポンティ、デュフレンヌ、マルディネ、アンリといった6人のフランスの哲学者、美学者たちそれぞれの絵画論について、原典からの引用を行いながら丁寧に解説を加えているのですが。

『何が描かれているか』より【どのように体験されるか】おそらく一般的に共有されている絵を視覚的に見るという行為ではない『身体的な論じ方』は、もっぱら美術史的な眺め方をしている私にはやはり新鮮で、勉強になりました。

また、本書においてはフッサールによって生まれた"現れるとはどのようなことかについて哲学的に探究する"『現象学』の影響を受けた考え方が多く登場しますが。個人的に、メタバース芸大の受講者に向けて。どこまで平易に哲学を踏まえた眺めた方について解説できるか。考えるヒントにもなりました。

美学自体について学びたい方の補助線に、また20世紀フランス哲学界隈が好きな方にもオススメ。

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