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撤退戦の研究

"日本停滞ないし崩壊の足音すら聞こえるが、一方で再生の足音も力強い。少なくとも私はそう思いたい(中略)ピスマルクは人は失敗から経験を学ぶが、私は歴史からそれを学ぶと言った"2015年発刊の本書は日本の近代戦をテーマに、我が国の繰り返す失敗、衰退の歴史を識者たちが解説した良書。

個人的には経営者の方にすすめられて手にとりました。

さて、そんな本書はジャーナリスト、戦史研究家、作家として特に昭和史に詳しい半藤一利、作家兼経営評論家の江坂影の二人が対話していく形式の全5章構成で『なぜ失敗に学べないのか』『なぜ情報が軽視されるのか』『平次のリーダー、戦時のリーダー』『組織を伸ばす人事、潰す人事』『なぜ、誰もそれを止められないのか』と、旧日本軍をテーマにしつつ。相変わらずの【成功体験】【精神主義】【学歴エリート】偏重主義の指摘、及びそこから学ばず、止められないことからの第二次世界大戦での敗戦、バブルを経て繰り返された"二度目の敗戦"を解説しているのですが。

明治から昭和初期の旧日本軍のことにあまり詳しくない、あるいは興味がない方からするとハードルが高いかもしろないと感じつつ。かって割と旧日本軍関連の本を読んでいた私自身は【補完されるようなエピソード、豆知識】が披露されていて興味深かった。

また、本書は過去の旧日本軍を取り上げつつも、現在の日本経済。低迷し衰退しつつある【日本企業の経営者や組織のどこに問題があるか】も指摘しているので。ビジネスパーソンとしても『良くも悪くも進行形で歴史が繰り返している』ことがわかって。シニカルさを感じつつも共感しきりでした。

歴史視点、40年サイクルといった『長期的なまなざし』で日本を捉えたいビジネスパーソンにオススメ。

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