見出し画像

枕草子

"春は、曙。やうやう白くなりゆく、山際少し明かりて、紫立ちたる雲の細くたなびきたる。"2001年発刊の本書は1001年頃成立と言われる日本三大随筆の1つ、軽妙簡潔にして知性的な「をかし」の美世界を現出させた名著を初心者向けにわかりやすく紹介した良書。

個人的にはミア・カンキマキのエッセイ『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』を読んで。"そう言えば清少納言、ちゃんと読んでないな"と本書を手に取りました。

さて、そんな本書は前述通り、平安中期の女流文学者。本名は未詳なれど一条天皇の中宮定子に使え、文学的才能を発揮した清少納言、7年余の宮仕えの日々が感性のままに連想や日記、瑞草的に描かれた『枕草子』の入門編として、有名な章段を抜粋。現代語訳、原文、寸評解説で紹介してくれているわけですが。

百人一首でも知ってる章段が出てくると、おお!と思いつつも、入門書とはいえ、ほぼ初めて『枕草子』に触れた感覚があって新鮮で、何より1000年以上の女性の言葉に現代人としても共感する箇所が多く。その変わらない人の喜怒哀楽、性分に嬉しくなってしまった。

またミア・カンキマキが嘆くように、同時代の紫式部の評"清少納言こそ、したり顏にいみじうはべりける人"の影響か。紫式部の人気に較べると現在では低いかもしれませんが。彼女の言葉の裏側に感じる【知的な人間臭さ】個人的にはとても好ましかったです。

枕草子の入門編としてはもちろん、平安時代の人々の様子を知りたい方にオススメ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?