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日本列島七曲り

"近藤勇の話を書く。なぜSF屋が近藤勇なんかやるのだと訪ねられても、答えようがない。なんとなく書きたいから書くのだとしか返事のしようがないのである"1975年発刊の本書は文学は広く、豊かである。と教えてくれる妄想力溢れるユーモア満載の極上短編集。

個人的には岸本佐和子のエッセイ『気になる部分』で本書が紹介されていた事もあって手にとりました。

さて、そんな本書は"お互いの家が入れ子の様に重なってしまった夫婦たち"『融合家族』"新婚初夜に多数の潜望鏡が出現する『奇ッ怪晒劣望遠鏡』表題作"飛行機ハイジャック犯と乗客たちの狂乱"『日本列島七曲り』等々の日常生活や社会がぐらりと歪む、エッチで下品なスラップスティック・コメディー集なんですが。

まあ、今なら検閲が入るだろう不適切な表現も含めて、インターネットすらなく、海外旅行も特別だった『昭和の時代のおおらかさ』みたいな空気感が全体的に満ちていて懐かしかった。

また、大学が同じという事で著者には勝手に親近感と敬意を抱いているのですが。そんな著者も2024年現在、89才。あと、どのくらい新作が読めるのだろうか。そんな事も思ったり。

昭和の空気感溢れるドタバタコメディ好き、発想力豊かな作品好きな方にオススメ。

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