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スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険

"スマホがもたらす消費環境の周到さは、私たちの主体性を、つまり、自分という『物語』を所有し、主役でいようとする力を奪っているように思われます"2022年発刊の本書は職業哲学者による常時接続の世界で失われた『孤独』と向き合うための処方箋的一冊。

個人的には主宰する読書会ですすめられて手にとりました。

さて、そんな本書はジョン・デューイや鶴見俊輔についての哲学単著もありつつ、様々に越境して活動している著者が、スマホから得られる"わかりやすい刺激によって【自らを取り巻く不安や退屈『寂しさ』を埋めようとしている】事にゾンビ映画や燃えよドラゴン、新旧のエヴァンゲリオンに『ドライブ・マイ・カー』といったエンタメ作品、またエピクテトス、オルテガ『大衆の反逆』ハンナ・アーレント他の新旧の哲学者を引用しながら警鐘を鳴らしつつ【『孤立』の中で『孤独』を。またそれを確保するための『趣味』について】論じているわけですが。

自分自身がソロ充というかぶつぶつと頭の中でひたすら対話している。本書で言うところの『結論づけず、モヤモヤとした状態で留めておく』ネガティブ・ケイパビリティ状態なこともあり、本書で書かれていることには強く共感する部分がありました。

また生活のほぼ全てがスマホを通して出来るようになっている中、スマホ自体を手放せ!といった短絡的、恣意的な考えではなく、いわば『付き合い方』について語っているのも好感を持ちました。

スマホを通じてSNS疲れを感じている方や、自分自身の『孤独』を取り戻したい方にオススメ。

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