見出し画像

臆病な詩人、街へ出る。

"『うーん...ふづきさんは、ずいぶんと臆病なんですね』(中略)どうだろう、と納得できずに首をかしげる。そもそも私は、詩を書いているせいで世間に馴染めないのではない。世間に馴染む方法が、わからないから、詩を書いているのだ"2018年発刊の本書はJK詩人からの脱却を図ったやわらかなエッセイ集。

個人的に昔『ニッポンのジレンマ』に出演された時に著者を知って、どんな人なんだろう?と思っていたので手にとりました。

さて、そんな本書は『詩の芥川賞』中原中也賞を過去最年少、高校3年生の18歳で受賞して『女子高生(JK)詩人』と注目を浴びるも、大学を卒業して24歳を迎え、気づけば"冴えない女"になってしまったと自覚した著者がcakesでの連載打ち合わせ話での『ここはひとつ、街に出て、現実と出会ってみてはどうですか』との提案にのって、キックボクシング、八百屋、ストリップ劇場、ギター、テレビ出演、アイドルオーディション、本屋バイトと未知なる現実への挑戦を行なっていくのですが。

著者の詩人としての作品"詩集"を知らなくても『詩人のくせに平凡』という長年のコンプレックスを抱えた"臆病な"著者が、しかし"自分を変えたい"と世界一周とかの『外』へ出ていくわけでもなく【目の前の『現実』を見つめ直していく】様子は、その素直なテキストもあって共感する部分がありました。

また、巻末に収録された谷川俊太郎との対談も、普段『詩人』たちが【どのような気持ちで詩をつくったり、朗読したりしている、してきたか】がよくわかって興味深かった。

著者のファンや詩人を目指している方はもちろん。焦りを進行形で感じている若者や、かってはそんな若者だった人にオススメ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?