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赤と青のガウン

"オックスフォード大学の厳しい博士課程を成し遂げた者しか袖を通すことを許されない赤と青のガウンは、くじけそうになったときにふと頭に浮かび、オックスフォードに来たときの自分に立ち返らせてくれ『目標』だった"2015年発刊の本書は皇族、彬子女王による博士号取得までの留学記。良書。

個人的に、先に読んだ『京都 ものがたりの道』がとても良かったので、本書も手にとりました。

さて、そんな本書は今上天皇(徳仁)の再従妹であり、女性皇族として初めて博士号を取得、研究者や教育者としても活動している著者が、オックスフォード大学で博士号を取得するまでの5年間、そしてその前の学習院大学在学中の短期留学の思い出を綴ったもので。『百川学海』から『一以貫之』まで、四文字でつけられた16章仕立てで、著者が英語に悩み、英国での生活や研究生活に苦しみながらも奮闘していく様子が読みやすい文体で描かれているのですが。

皇族としての特別さも日本国民の一人として、確かに興味深い部分もありましたが。何より、私自信が美術史を独学で学んでいるので。著者のオックスフォード大学での日本美術史研究。海外に流出した日本美術に関する調査・研究を行う様子、伊藤若冲で知られるプライス邸を訪れる様子などが非常に興味深かった。

また、何より。財政や就職事情なども重なり、日本からの留学生が減っているとも言われる中、一学生として名門大学で博士号取得に著者はもちろん、本書に登場する日本人たち、あるいは親日の方々に勇気づけられ、元気づけられま
著者ファンの方や皇族の生活に興味がある方へ。また何より留学生の真摯な成長記としてオススメ。

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