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0メートルの旅

"移動距離によって旅の性質は変わりうる。それは事実だ。だがそれでも、距離に制約されることなく、旅への渇きを満たせたらいいのに。そういう願いを込めながら、本書を書いた"2020年発刊の著者デビュー作、有給取得率100%を旅に費やしたベストアルバム的旅行記。

個人的には、手ぶらでふらりと旅に出た。昔の感覚を思い出したく、本書収録のイラン旅行記で『世界ウェブ記事大賞』(そんなのあるんだ)を受賞した本書を手にとりました。

さて、そんな本書は(おそらく)時系列はバラバラに『海外編』として南極、南アフリカ、モロッコ、イスラエル、パレスチナ、イラン、ウズベキスタン、インドへの旅から始まり『国内編』『近所編』そして『家編』部屋と【16350000メートルから0メートル】へと、距離が縮まりながら、各10ページくらいで旅の記録が収録されているのですが。

いわゆるSNS"インスタ映え"アニメや漫画の"聖地巡り"が流行る前、またコロナ禍で移動に制限を受ける前の"偶発的な違いと出会っていく"旅本来の魅力がユーモアを交えながら描かれていて、とても引き込まれた。

また、さらっと『お金をかけずに』例えばWEBの検索やサービス、古地図アプリを工夫して旅を楽しむテクニックというか、工夫も本書では紹介されていて。そんなところも気に入りました。(自由業じゃなく、会社員なのもポイント高い)

"旅とは、そういった定まった日常を引き剥がして、どこか違う瞬間へと自分を連れていくこと。そしてより鮮明になった日常へと、また回帰していくことだ。"

自らで工夫した『旅らしい旅』が好きな方。旅行記好きな方にオススメ。

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