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コードネーム・ヴェリティ

"そう、わたしは『キスしてくれ、ハーディ』のほうが好き。すばらしい最後の言葉だ。ネルソン提督がそう言ったとき、それは本心だった(中略)わたしも正直だ。"2012年発刊、本書はエドガー賞他受賞、大戦時代でのふたりの少女をめぐるスパイ小説、ミステリ傑作。

個人的に【謎の第1部。驚愕の第2部】といった紹介にひかれて手にとりました。

さて、そんな本書は第二次世界大戦中の占領下のフランス。ナチスの捕虜にとしてゲシュタポ本部に監禁されたイギリス特殊作戦執行部員の女性"クイーニー"は尋問をやめる代わりに条件として『イギリスに関する情報』を手記として漏らすことを強制されるのですが。彼女はなぜか、その手記を【親友である女性飛行士マディによる小説、物語風にして書いていく】のが第一部。第二部からは語り手を変えて続きが描かれていくのですが。

いやあ面白かった!まず、著者自身が国際的な女性パイロット組織『ナインティ・ナインズ』のメンバー、最優秀パイロットを受賞している(!)のもあるのでしょう。飛行機の登場シーンは流石に詳しく、また著者自身が『歴史的な正確さにこだわった』というだけあって、様々な史実を踏まえた描写が『戦争小説』として物語に重厚さを与えてくれているし。

またそうした背景のもと、描かれるスコットランド貴族階級の"クイーニー"とユダヤ人庶民のマディ。ふたりの少女をめぐる【勇気と友情の物語】は青春時代の出会いからちゃんと丁寧に描かれているからこそ感動的で、巧みな前半第一部の伏線回収も含めて楽しませていただきました(映像化も期待)

第二次大戦を舞台にした上質なミステリとして、また魅力的なキャラクターが活躍する物語としてもオススメ。

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