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点と線から面へ

"本書では二つの基本的要素を取り扱うが、それは一番最初にあらゆる絵画作品に役立ち(中略)同時にー版画というー絵画の独立した分野にも十分使用できる材料となる要素でもある"1926年発刊の本書は抽象絵画の創始者による『点と線』の本源的な力を理論的、科学的に解説した古典的名著。

個人的にメタバース芸大で美術史も解説していることから資料として手にとりました。

さて、そんな本書はロシア出身の画家であり、美術理論家にして、抽象絵画の創始者とされる著者が絵画はもちろん、諸芸術における科学における『理論と実践のための分析』をテーマに、具象芸術だと注目されない『点』の有用性、同じく絵画の最高の簡潔さと最高の正確さの為の『線』そして平面について。簡潔な断章風味のテキストと豊富なイラストで解説を行っているのですが。

やはり『点』と『線』。絵画やイラストを描く時に今では気にもとめないであろう事について、ここまで理論的に語ることが出来るのか。というのが衝撃的でした。

また、本書において著者は例えば『パリのエッフェル塔は、線でとくに高い建物を建てた最初の試み』とかたっていますが『抽象画』絵画、芸術における引き算をした上での本質的要素を見つけ出す。そんな著者が世界をみている眼差しが気になりました。

美術史上の名著として、また絵画、抽象画に関わる全ての人にオススメ。

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