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バッタを倒しにアフリカへ

"全身バッタまみれになったら、あまりの痒さで命を落としかねない。それでも自主的にバッタの群れに突撃したがるのは、自暴自棄になったらからではない。子供の頃からの夢『バッタに食べられたい』を叶えるためなのだ"2017年発刊の本書はバッタ博士による傑作科学冒険(就職)ノンフィクション。

個人的には表紙のインパクトに前から興味を持っていたので手にとりました。

さて、そんな本書は昆虫の行動研究の先駆者『ファーブル昆虫記』のファーブルに憧れて、昆虫学者になることを目指していた著者による西アフリカ、モーリタニア『バッタ研究所』での数年間のサハラ砂漠での過酷なフィールドワークの日々、そしてポスドクから任期なしのポストを得て、正式な昆虫学者になるための悪戦苦闘がユーモアと知見に満ちたテキストで描かれているのですが。

いやあ。予想以上に面白い。バッタ研究所の親切で面倒見のよいババ所長、"音速の貴公子"現地ドライバーにして人間味溢れて憎めない相棒ティジャニに助けながらバッタ研究に言葉も通じない砂漠で明け暮れる様子は、猛烈な熱さやサソリなどに襲われたりと【割と過酷なはずなんですが】とにかく著者の文章が魅力的なので、まるで冒険ブログのように楽しませていただきました。

また、いわゆる大学院を出て博士号を得るも就職が決まらず"ポスドク"であった著者が、研究の合間に帰国しては就職活動も行い【任期なしの職】を得るために悩み、奮闘する姿は我が国の『高学歴ワーキングプア問題』としても考えさせられるも、さておき。素直に頑張れ!と応援したくなります。

楽しく読めるフィールドワーク、バッタ(昆虫)研究の一冊として、また就職活動に悩んでいる人にもオススメ。

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