見出し画像

グレイスイヤー 少女たちの聖域

"わたしは自分がなにを見たかわかっている。なにを感じたかわかっている。みんながそれを魔力と呼ぶならかまわない。わたしはそれを狂気と呼ぶ。ただ、ひとつだけ確かなことがある。ここには恩寵なんか存在しない"2019年発刊の本書は映像化も決定したフェミニスト・ディストピア小説。

個人的にはディストピア小説好きというのもあって手にとりました。

さて、そんな本書は外界と隔てられたコミュニティ"ガーナー郡"。女には男を惑わせる"魔力がある"と、強い女性嫌悪が根付き、16歳を迎えた全ての女の子は人里離れた森の奥にあるキャンプに一年間送り込まれてサバイバル生活を強制され、魔力を使い果たし【"清らかな女性"として"妻"として戻ってくることを求められる】風習がある社会を舞台に主人公のティアニーは"妻"ではなく、自分の人生を生きることを望み。意志を貫こうとするのですが。

まあ。あとがきによると発刊された時に【『侍女の物語』と『蠅の王』と『ハンガーゲーム』の世界観を併せ持った作品】と評されたらしいですが。それらの3作品全てを既読であったり、鑑賞済みである私からしても【まさに納得】といった感じで。この閉じ込められた世界でのデスゲームに夢中になりました。

また本書はいわゆる『YAエンタメ小説』のため、ティアニーの前には幼馴染にしてガーナー郡の権力者の息子でもある穏やかイケメンのマイケル。そしてサバイバル先で出会う狩猟者のワイルドイケメン、ライカーとタイプの違う対照的な男性陣が登場するわけですが。ハード過ぎる世界の中で【一服の清涼剤的ロマンスがある】のも良かった。

ディストピアSF、エンタメ小説として。また寓意に満ちたフェミニスト小説としてもオススメ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?