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酒場の君

"好きでなかったものを美味しく感じることが、味覚の衰えと考えるのは少し寂しい。何かを食べて美味しいと感じることは、記憶の積み重ねだ。いつどこで何をどんな気持ちで食べたのか、具体的なことは忘れてしまうとしても"2024年発刊の本書は話題になった私家版に書き下ろし追加の良書。

個人的には味のある表紙に惹かれて手にとりました。

さて、そんな本書は客室乗務員、英語講師などの職業を経て作家になった著者が、2023年、2024年と出した私家版の好評を受けて、一冊にまとめて書籍化したもので、この世に存在する数知れない『酒場』のうち、約40のお店を訪れて白地図を埋めていく日々がお店とのやりとりが再現された軽妙な文体、料理の匂いすら伝わってきそうな見事な活写で描かれているのですが。

流石に年齢を重ねて、何軒もハシゴするような飲み方は控えるようになったとはいえ、その楽しさ、高揚感を知る1人として、著者と一緒に同席しているような心地よさでした。

また、本書で掲載されているお店は主に関東。東京や横浜ですが、そんな中に私のホームグラウンド、京都は『赤垣屋 』なんて不意に出てくると、おっ!と嬉しく感じたり。

酒場にふらっと立ち寄って舌鼓をうつ。そんな日々の楽しさを知るすべての方にオススメ。

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