見出し画像

エリオと電気人形 1

"『ありがと アンジュ ぼくのこと いつも 大切にしてくれて』『当然だろう 君は私の充電器だ』"2023年発刊の本書は、最後の電気人形のアンジュと電気人形に育てられた人間のエリオが織りなす、近未来スチームパンク冒険譚。

個人的には美しい表紙イラスト、また好物のスチームパンク!に惹かれて手にとりました。

さて、そんな本書は若年人口の減少により多くの仕事をAIによる自動化に依存した結果、進化した自律分散型集合知AIが誕生、非効率な人類を排除するために人類との全面戦争が始まってから100年。『人類側が文明レベルの退化を受け入れ、電気を放棄した世界』を舞台に。人類抹殺のために造られた電気人形のアンジュ、そして電気を発することのできる人間、実験体の少女エリオの荒れ果てた世界を旅する様子が描かれているのですが。

ツンツンしたアンジュ、天真爛漫なエリオ。二人の会話も微笑ましいですが。旅先で出会う工場で働く兄弟、電気人形との想い出を胸に生きる老人など。心温まる各エピソードもとても良い。

また、イラストレーターの黒イ森の緻密な作画は、どのカットも美しく。本書の物語の魅力を大きく拡げてくれていると思いました。

少女たちのバディもの、スチームパンクの世界観が好きな方にオススメ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?